17話 ページ21
4月になって、お姉ちゃんは高校1年生、私は中学3年生になった。
阿部くんは相変わらず、お姉ちゃんの家庭教師をしてくれている。
時々、私にも勉強を教えてくれるからありがたい。
そして、辰哉くんも変わらず、私の部屋に来ている。
でも、ゲームをするのではなく、一緒に勉強をすることが増えた。
そんなある日、気になっていたことを、勉強の合間に聞いてみた。
『ねえ、辰哉くんって、勉強とゲームしてる時以外って、あんまりメガネかけてないよね。ちゃんと見えてるの？』
深「見えてるよー。何？俺のメガネ姿が好きだから、もっとかけてほしいの？」
『違うから！気になっただけ！」
深「ふーん、そ。でもAちゃんって、メガネ似合いそうだよね」
『え、そう？』
深「うんうん。あ、ちょっとこっち向いて」
そう言われたので辰哉くんの方を向くと、辰哉くんの手が伸びてきて、新しく取り出したメガネをかけられた。
深「お！かぁいい！やっぱ似合うじゃん。それ度が入ってないやつだから、Aちゃんにあげる」
『え、でもこれ、辰哉くんが使ってるやつじゃ···』
深「いいのいいの！他にもメガネはあるから大丈夫！」
『でも···』
深「いいの！似合ってるから、Aちゃんにかけてほしいの」
『···じゃあ、もらうね。ありがとう。大事にする』
深「どういたしまして〜。それにしても似合いすぎじゃない？めちゃくちゃかぁいい。せっかくだから、このまま勉強しよ」
勉強を再開したけど、さっき「似合ってる」やら「かぁいい」やら、褒め言葉を連発してきた辰哉くんのせいで、勉強が手に付かない。
深「Aちゃん、俺が教えてあげる。ふっか先生って呼んで」
『教えてくれるのは嬉しいけど、呼ばないよ』
深「え〜、呼んでほしかったのにー」
『···はぁ。ふっか先生、ここはどうやって解くんですか』
深「！えっと、ここはね〜···」
深「この文法は···」
そう言って、辰哉くんが隣で説明してくれているけど、その言葉も、右から左へ流れていく。
だって、あまりにも近い。
故意なのか無意識なのかは分からないけど、右を見ると、かなり近くに辰哉くんの顔があるから、すごくドキドキする。
メガネ辰哉くんはかっこいいし大好きだけど、ふっか先生の授業は、緊張しすぎて集中できなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 302人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はる | 作成日時：2023年5月15日 20時
