【04】帰路 ページ5
「今日の授業は散々やったなぁ。」
「･･･織羽なら運べるのに。」
「それじゃあ、あたしが能力使ったって疑われるでしょう？ 計測にならへんわ。」
能力を使わずに、ゆっくりと並んで歩いて帰る雪奈と織羽。
結局、あの授業中に雪奈の能力が発動することは一度もなかった。
不安定なのか、はたまた発動条件があるのか──特定の人間ならば何度でも運ぶことができた。
「不安定なら練習するしか無いやろ。条件があるのなら
「そんなレア能力、使える人ってそうそう居ないよ･･･重宝されてて殆どが警察官とか検死官になってるって聞くし･･･。」
能力を調べてください、なんて警察に頼めるわけがない。
二人そろって小さく溜め息を溢す。
「それじゃあ、あたしは此処で。」
「うん。じゃあね、──また明日。」
「またなぁ。ほな、さいなら。」
織羽の家は学校に近い。
雪奈の家から学校までには長い坂がある、その途中に織羽の家はある。
少し羨ましい、と思いつつ家へ帰るために少しだけ歩みを速くする。
今日のお弁当も美味しかった。
今日の夕飯は何？
待っている妹と話したいことを考えて、玄関のドアを開けた。
バタン。
玄関から見えた廊下に、思わずドアを閉めてしまった──家を間違えたかな、と。
いや、間違いなく自宅だ。
「雪花、ただいま。･･･いないの？」
廊下の床には夥しい量の羽根が散っており、壁には凄まじい数の刀剣が刺さっている。
刀剣には見覚えがあった──雪花の能力だ。
「なんで、こんな･･･あの子が能力を使うなんて。」
刀剣に触れないように、気をつけて廊下を歩く。
廊下から階段へ──階段にも刀剣が刺さっていたことから、それを目印に二階に上がる。
二階の廊下、最後の刀剣が刺さっていたのは、･･･雪花の部屋のドア、その真横。
部屋のドアを開けようと、ドアノブに手を掛けた。
『■■ぇちゃ■、･･･■■■■。』
ザッ、ザザッ、とノイズのように掠れていて聞こえづらい音──雪花の声。
" おねぇちゃん "
" たすけて "
続く
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