【02】特別科目 " E.S.P. " ページ3
国立黒姫大学付属・第二黒姫高等学校は神奈川県にある。
超能力を使えることが日常化した現代で、どこぞの金持ちと国が共同で創り上げた学舎の一つ。
超能力の危険性や安全な使い方などを学ぶための専用科目授業があるのが特徴となっている。
「始めるぞ！矢口 織羽！」
「はい。」
そして今、その科目の授業がグラウンドで行われている。
特殊繊維で作られた学校指定の紺色のジャージを全員が着用している。
先生に呼び出された織羽の目の前には、へのへのもへじが書かれた超巨大な分銅が置かれている。
「この10トン分銅のブンドーくん。グラウンドに的当てみたいな多重の円形が描かれてるのは分かるよな？ 目隠しをして、できる限り中心に移動させるんだ。」
「了解です。」
記憶型の瞬間移動のため、あらかじめ用意されていた真っ黒なフルフェイスのヘルメットが織羽に渡される。
メットをかぶった織羽がブンドーくんに左手で触れると、メット前面の透明なプラスチック部分が真っ黒に変わる───視界を封じられる。
「円の･･･中心に！」
フッ、とブンドーくんが消えた。
円の中心には何もない、変化もない。
メットを外した織羽が、あれ？と首を傾げた──次の瞬間。
ヒュォオオオオオオオッ
全員が上を見上げる。
円の中心めがけ、空から猛スピードで落ちてくるブンドーくんに全員の「あっ」という声が重なった刹那──激突。
凄まじい衝撃と、砂煙。
「あっ･･･ぶねぇーーな！！矢口！」
「すいませんっした！」
先生の超能力だろうか。
全員が無傷で、余韻として舞い上がった砂で少しジャージが汚れた程度だった。
ちらっとブンドーくんを見ると、円の中心からは少しだけ離れた場所に鎮座していた。
「次、渡瀬 雪奈！」
「はぁい」
名を呼ばれて、気だるげに先生の元へと歩み寄る。
雪奈の超能力も瞬間移動に分類されるものであるため、この移動系強化授業に入っているわけだが──。
「まず、円の中心に歩いて移動。そこで能力を発動して
先生の説明に頷いた雪奈が円の中心を目指して歩く。
円の中心に辿り着いて、先生のいる方へと身体を向けた。
「よし、始め！」
先生の合図で、目を閉じて集中する。
雪奈の超能力は【 転移：
一方通行の瞬間移動といえば分かりやすい。
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