童子切の刀

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鬼が1匹ページ5

本丸の鍛刀部屋、そこにこの本丸の主は居た。

手には手紙と共に送り付けられた一振りの、重く冷たい太刀を持って。

｢さぁて、顕現するかぁ。」

近侍である加州を呼び、待っているのだが。

内にある好奇心には勝てない。

この本丸で問題を起こす人物といえば何を隠そう、
大黒柱であるはずのこの審神者であったりする。

驚き好きな爺や馬糞を投げたりする少年など、数多いるやんちゃな刀剣を押しのけ、
ランキング1位となっているのだ。

若いと言えばいいのか、困った審神者である。

陸が徐に手を上げ、妖しく光る刀身に触れようとした。

ガラッッ

｢ごめん主！お待たせっ……って……！」

視界の端でも、目立つ赤。

襖を勢いよく開けて、入ってきたのは加州だった。

陸はまるで悪事がばれた子供のような顔をしている。

｢げぇ、加州ー｡」

｢一人で顕現しようとしてたでしょ！全く、何回怒られたら気が済むの……｡」

加州の説教なんて聞こえていない様に聞き流して、満開の桜を眺めている。

関心は全て目の前の太刀に向かっているのだと、手に取るように分かった。

それを見た加州は呆れた様子で、陸に言った。

｢顕現しよ、主｡」

桜を眺めていた横顔が笑顔で刀を見ている。

｢よしっ、やるぞー！」

全く、この主は……。

苦笑した加州も、どんな刀剣が来るのかと期待を抱き、太刀へと目を向けた。