鬼が17匹 ページ21
童子切side
「出陣……？」
「そうだ」
突然だったから驚きはしたが、まぁ、そうか。
今の私は刀剣女士で、時間遡行軍から正史を守らなければならないのだから。
「出陣先はどこなんだい？」
「当然だがまだ練度は低い。検非違使のことも考えるとなると、多分池田屋辺りか。それでも周りの助けは必要だろうな」
私にはよく分からないが髭切、膝丸や乱、骨喰たち顔見知りの刀剣は少し難しそうな顔をしている。
まだ一度もこの姿で戦ったことない私でも分かる。
私たちはどこまでいっても結局は刀剣なのだ。
刀で、物だ。
依り代である本体が折れれば私たちも同時に消える。
まぁ、だからと言って卑下してる訳じゃないけど。
だって、歴史を守ると言う重大な任務があるわけだしねー。
とまぁ、こういう問題があるわけで、彼らはそれを気にしてくれているのだと思う。
「主よ、それはせめて演練をして練度を多少上げてからでは駄目なのか」
「童子切は"試験的"に実装されたんだ。政府もこっちが早く何らかの情報を送るよう急かしてきてる」
「あちらの事情で顕現したと言うのに、こちらの都合はまるで無視だね」
「兄者の言う通りだな。姉者や主は政府のために居るわけではないだろう」
ピリピリとした空気が大広間に流れ始める。
当事者であるはずの私は取り残されているのに。
すかさず主が皆を宥める。
「まぁ、政府もいろいろあるんだろ。実際、問題のある本丸なんかが増えてるらしいしな」
どう思う童子切、と主は私に話を振ってくる。
えぇ、今ー？
「うーん、よく分からないけどなー……。まぁ、それが主さんの言うことなら、従いますよー。」
「じゃ、頼まれてくれるか」
「拝命した。まぁ、頑張るよー」
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作者名：おきな | 作成日時：2018年4月5日 15時
