鬼が10匹 ページ14
童子切side
「姉者、今日は宴だが食べたいものはあるか？」
「食べたいもの？」
先程まで少し離れて私たちをみていた二人が寄ってくる。
「うん、仙台切？が童子切の食べたいものを作ってくれるって」
「兄者、燭台切だ」
食べたいものと、いきなり聞かれてもパッとは思い付かないけど……
少し俯かせていた視線を上げる。
「うーん、特にはないけど、強いて言うならお酒が飲みたいかなぁ。あと、肴も欲しいー」
「お、嬢ちゃん酒が飲めんのか」
日本号といったか、背の高い人が来た。
「うん、私が斬った酒呑童子はお酒が好きだったからね。その影響じゃないかなー」
私はなぜだか分からないが、元主である頼光様や足利将軍家の方々より、酒呑童子達の影響の方が強い。
私が酒豪なのも、そのせい。
日本号と話始めると、段々とまた人が寄ってきた。
そのなかには懐かしい顔もいる。
「骨喰、久しぶりだねー。……と言っても、記憶がないんだっけ。私のこと、覚えている？」
政府の役人が、確かそう言っていた気がする。
昔馴染みの記憶がないと言うのは思っていたよりも衝撃的で、そのときの動揺は笑ってしまうくらいだった。
「あぁ。だが、少ししか覚えていないようだ」
「そうかぁ。まぁ、久しぶり、骨喰」
骨喰と会話を続けようとすると後ろから衝撃を感じる。
視界の端に入る金の色に、口角が上がる。
久々の再会は、どうしようもなく嬉しいものだ。
衝撃の原因であるその子は眩しい笑顔を浮かべ、笑いかけてくる。
あぁ、かわいいなー。
「久しぶりー、乱」
「久しぶりー！きり！」
ここには本当にたくさんの刀剣がいる。
懐かしい者との再会を楽しみながら、暫く時間が経つのを忘れ、話に花を咲かせた。
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作者名：おきな | 作成日時：2018年4月5日 15時
