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「それは、その…」
初めての事に戸惑いを隠しきれない私をよそに平然とするチャニョル。
「うん、良ければ、っていうか」
横目でちらりと見るともぐもぐとおつまみを食べながら荷物をあさり始めた。
「やーでもチケット、取りにくいでしょ？今や人気？アイドル？なんでしょ？」
「何そのハテナの多さ！…でも関係者席だし近くて見やすいよ。」
いやいや、近くて見やすいのは問題じゃないから！
そんな私の事はつゆ知らず、あったあった、と声を漏らすと、
「はいこれ、」
チケットが一枚手渡された。
「来て、俺のこと見に」
「でも私、歌も知らないし、応援グッズもないから、その」
どうしよう....
今まで言わなかったけど....ついにバレる....
「だと思って、CD、ペンライト、その他諸々持って来たから使って」
何この用意周到さ…
……もう白状するしかない
「ごめん、私…チャニョリのグループ？…分かんない、んだよね…」
勢い良く私の顔を見ると大きく目を見開いた。
「マジで言ってる？」
「隠してたわけじゃなくて....うん、ごめん」
「そっか....俺ももっと頑張んなきゃな」
若干寂しそうな顔をしてソファに埋もれた。
「でも、これから知ってけば良いじゃん、そうだよ、俺…！」
うん？これは心の声か？？
チャニョルはテーブルに置いていたチケットを取ると、写真が印刷されていたところを指差す。
「これが俺の第二の家族、"EXO"っていうグループ。覚えて」
EXO....
うわあ人数多くないかこれ
ジッと目を凝らして見ていくと勿論チャニョルも居て、マジでこの人芸能人なんだ、という圧倒感を感じる。
他にも目が細い人とか真っ白な肌の人とか童顔の人とか…確かにかっこいい、かも？
「この人、名前は何さん？」
短髪の人を指差し聞いてみた
「あーそれは....あっダメ。教えない。」
手でバッテンを作ってみせるって子供ですか。
「なんで？」
「教えたら俺だけ見てくれないだろ？」
「うん多分」
「ほらな！だから絶対自分でも検索したりしたらダメ！分かった？」
まあ検索するほど気になるわけじゃないし良いんだけど…
「はいはい、し ま せ ん ！」
「でも....なんでコレ？？」
チャニョルの指先を見るとさっきの真顔の短髪の人。
「んー、なんとなく」
「あっそ....でさぁ、始まってるけど」
「え！？」
気づけばドラマの放送時刻から15分も経ってた。
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作者名：あんず | 作成日時：2016年12月15日 2時
