お姉ちゃんのこぼれ話【シリーズ短編】 (ページ3)

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「期待されてるじゃん、ゆめまる。」

「やっぱそういうことだよね～。」

「俺もゆめまるには頑張ってほしいから、Aさん応援しよ。」

正直、あまり自分の容姿にこだわりはない。そりゃまあ、太ってるよりは痩せてる方が色々いいとは思うけど。運動とかで痩せるのはたぶん無理。

まあAちゃんも俺のそういうところわかってて、こういう攻め方してきたんだろうけど。

「スタジオの日は作るから、お昼はお弁当食べてね！」

てつや達との闘いが一段落したらしい。
そんないい笑顔で言われたら、「がんばっちゃおーかな」って気持ちになる。

これもやっぱ計算してやってんのかな？

「スタジオに来る日だけ食事変えても無理だと思うけどねー。」

「うるさいぞ虫くん！いいの！ちょっとずつなの！」

「ねえなに！？どういうこと！？」

「てつやうるせーって！」

「とかいって、実はとしみつもちょっと羨ましいんでしょ？」

「あ、そうなの？としみつ、そうなの？」

「なんでそうなんだよ！！」

あーあ、また騒がしくなってきた。
お弁当ひとつでこんだけ騒げるってすごいな。

あぁでも、

「Aちゃんが嫁に来てくれたら痩せるかもね～。」

俺って持続力ないし、ストイックでもないし。Aちゃんみたいな人が、こうやってヘルシーな食事を毎日作ってくれたら、俺でも痩せられるかも。

そう思って何気なく口に出しただけなのに、みんなの動きがピタリと止まった。

え、なんでみんな俺のこと見んの？

「お前は何で急に口説いてんだよ！」

「え、口説いてた？」

「ゆめまるって結構ナチュラルにタラシだよね。」

「僕も思ったけど、りょうがそれ言うな感もある。」

「そうかぁ、嫁に行けば痩せてくれるのかぁ…。」

「いや、姉上そこまでしてゆめまる痩せさせたいの！？」

「ゆめまるに姉ちゃんはあげませーーーーん！！」

まあとにかく、ちょっと頑張ってみようかな。

(あ、でも、ずっと太ったままなら、Aちゃんにずっとお弁当作ってもらえるのか。)

それはそれでありだなぁ。

策士策に溺れる

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