お姉ちゃんのこぼれ話【シリーズ短編】 (ページ2)

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久しぶりに会ったAちゃんは、昔と変わらずあけすけで面白くて、それでちょっと、かわいいです。

「はい、ゆめまる！」

スタジオに着いた途端、Aちゃんからかわいらしい風呂敷に包まれたお弁当箱を渡された。周りがすごい驚いた顔でこっちを見てきてるけど、たぶん一番驚いてるのは俺だと思う。

「え！？なに、どういうこと！？姉ちゃん、俺のは？？」

「ん？お弁当のあまりなら冷蔵庫入ってるから、食べたかったらそれ食べな。」

「なんで！？なんでゆめまるだけ！？」

「てつやバカうるせー！」

「いやでも、さすがにこれは俺も気になる。なんでゆめまるにお弁当？？」

今日って俺の誕生日とかだっけ？と思わずカレンダーを確認してしまったが、どうやらそういうわけではないらしい。みんなも驚いてるってことは、企画でもなさそうだし。

「私がゆめまるにつくりたかったからつくったの。…ゆめまる、ダメだった？」

「え？なにが？」

「お弁当、迷惑…？」

いや、あれだけ堂々と、めちゃくちゃ自信ありげにお弁当を出しておいて、どうして今更そんなにしおらしい態度がとれるんだろう。

Aちゃんって計算なのか天然なのかわからないんだよなぁ。

「いや、普通にうれしいけど。」

「じゃあ、お昼はそれ食べなね！コンビニとかで余計なもの買っちゃダメだからね！」

コロッと満面の笑みを浮かべるあたり、やっぱ計算なのかな。まあどっちにしろ、俺はAちゃんには逆らえんけど。

「なんでなんでなんでなんでなんで～～～～！！？？」

「うるさいなー。いいでしょ別に。」

「百歩譲ってゆめまるに作るのはいいけど、だったら俺にもーー！！！！」

「だからおかずなら冷蔵庫にあるってば！」

「お弁当箱に詰めてよーー！！！かわいい風呂敷でつつんでよーー！！！」

てつやとAちゃんの見慣れた攻防戦が始まってしまった。
としみつとしばゆーがそれに茶々を入れながら騒ぐ、いつもの光景。

きっと最後はAちゃんが折れて、終結する。

「ゆめまる、そのお弁当見せてよ。」

「え？ああ、いいけど。」

「僕も僕も。」

少し離れたところで静観していたりょうくんと虫さんが近寄ってきた。ご要望通りに風呂敷を解いて、お弁当箱の蓋を開ける。

「あぁ、なるほどね。」

「わっかりやすいお弁当だなぁ。」

お弁当箱の中には色とりどりの、

野菜。

たぶんだけど、ザ・ヘルシーって感じのものが詰まりに詰まったお弁当。これに込められたメッセージは、確かにわかりやすい。

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