お姉ちゃんは忙しい【東海オンエア】

最近、どうも様子がおかしい。
誰のといえば、俺の。



独白



(何をそんなイラついてるんだろう。)



しばゆーがとしみつの他愛もない秘密を暴露した日。としみつを茶化しながらも、胸が少しザラついている自分には気が付いていた。

まだ10代で、恋愛に憧れるような高校時代。
あの頃、としみつがAさんに恋心を抱いているだろうことは俺も気が付いていた。
そして俺自身も、Aさんを憎からず思っている自覚があった。

ただそれは、それこそ“ありがち”な話だと思っていたし、友情と恋愛をとるなら絶対的に友情だった。

だからとしみつがAさんを好きなのであればと、正直なところ遠慮をしていた。


まぁ結局、としみつがAさんに何かアクションを示すことは最後までなかったけど。


(としみつがあんなピュアなリアクションをとっておいて、ちゃっかり彼女をつくってるから？)


それがむかつくのだろうか。

なんだ、その子供みたいな理由は。


何だかんだ言いながら、としみつは普通にあの時のことを“良い思い出”として処理していて。
「あの時俺に遠慮させておいて」と恨みにでも思っているのだろうか。


(自分で勝手に後ろに下がっただけなのに？)


自分でもよくわからない。
そもそも俺だって、別に普通に彼女をつくったりもしていたし。

ただ間違いないのは、てつやにAさんの結婚の話を聞かされた時、


俺はうまく笑えなかった


ってこと。


昔のとしみつに対して「不器用だな」とか「素直じゃないな」とか思っていたはずなのに、
俺のがよっぽどこじらせていたんだろうか。


(結局俺は、どうしたいんだろう。)


答えはまだ出そうにないけど。
でもまぁ、今はとにかくAさんが側にいる生活が楽しいから、


それで良しとしよう。