望に捧げる・・・？

09.容疑者 ページ10

〆．



「Aちゃん」



望くんの右手には、今日も私の出した「本来廃棄物であったもの」。



………おかしいな。



昨日から、私の家の鍵がないんだよね。



だから合鍵を使ってるんだけど……。



望くんは絶対に、私が捨てたものしか拾わない。



その証拠に、今までなくなって困ったことがない。



だから彼は犯人ではないだろう。



果たしてこの容疑者の外し方は合っているのか。



「昨日寂しかった」



望くんは泣きそうな顔で私を見ている。



よしよししたら、望くん二度と髪の毛洗わないんだろうな。



でもしちゃう。



「ごめんね？私も行けば良かったかな、望くんとお付き合いさせていただいておりますって挨拶しに」



「っ！！」



「結婚を前提に、とか言っても良かったかも」



「うう！」



好きやぁ、とわかりきった感情を言葉に変える彼。



やっぱり、心配かけさせるわけにはいかない。



「望くんのお嫁さん、なってもいいの？」



「当たり前やんかぁ！合法！」



「ちょっと余計な単語がついてきたかもね」



望くんからちゃんとプロポーズされるのは、また別のお話。



「なー、望」



「え、流星やん、なんでAちゃんの半径50メートル以内に入ってきてんの？」



「同じクラスやからな。合コンに興味ない？」



「ないわ！近寄んなあほ！」



「ちっ」



彼女の前で彼氏を合コンに誘おうとしたね？



これ、流星よくないよ？



「Aのこと奪う機会はおいおい考えよ」



「おい！シバく！」



〆．

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