望に捧げる・・・？

08.いつも通り ページ9

〆．



大ちゃんの笑顔に安心したのは、彼の親に引き取られた時以来かもしれない。



だってこの人シスコンなんだもん。



普段の笑顔には下心しかないし。



「どうしたんや？そんな焦って」



良かった。本当に良かった。いてくれて。



もしあれがストーカーだったとしたら、大ちゃんを見て恋人とでも勘違いして諦めてくれるかもしれないし。



鍵を二重にかけて、大ちゃんに笑顔を見せた。



「なんでもないよ。それより突然どうしたの？」



「Aに会いたくて！今日はあのノッポおらんねんな？」



「ああ……親戚のお家だって」



「へー、あいつ、Aより親戚優先なんやなぁ」



「いやいやいや………人付き合いもバランスが大事でしょ。四六時中私にベッタリなんてこともないだろうし」



「俺はAとベッタリしてたい♡」



望くん、盗聴してるよねぇ。



やきもちやいてるかな。



ちょっとドキドキしたりして。



「あ、電話？」



望くんから。



「もしもし？」



『Aちゃん！！』



元気だねぇ。



『今、盗聴してたけど！俺やってAちゃんとずっとずーっとベッタリしてたいねん！！』



罪の告白に何の抵抗もない望くんも好きだよ。



あ、そういえば盗聴って法ぎりぎりグレーゾーンさまよってるんだっけ。罪じゃないのか。



「親戚との団欒を楽しんどきなよ」



『Aちゃんを愛でる方が大事！オカズ持ってきてへんし……』



「じゃあ後で写真送るから楽しみにしてて？新しいパジャマ買ったの」



『はうっ……』



いつも通りの望くんに安心した。



「……俺はまだ認めてへんからな！」



いつも通りの大ちゃんにもちょっぴり安心した。



〆．

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