12.小瀧くんの部屋 ページ12
〆．
そこは普通の一軒家の、普通の二階建ての、まあとにかく普通な家だった。
幸せな家庭が見えてきそうな。
問題があるとすれば、
私の家が目と鼻の先にあることくらいだろう。
小さな川を挟んだ向かいだ。
全然気付かなかった……。
インターホンを鳴らし、目を輝かせる彼の母親に丁寧に挨拶すれば、彼の部屋は二階の左側だと教えてくれた。
ノックをし、唸り声みたいなのが聞こえたから、一声かけてドアを開く。
「…………そういや」
そういや、小瀧くんは私のストーカーだった。
きちんと整頓された部屋に、私の写真がびっしり。
カーテンの隙間から私の家の中が丸見えなのに気付いて、笑ってしまった。
これは私の方にも問題ありだ。
見たところ、私はこの部屋のインテリアとして、持ち主の心を大いに癒していることがわかる。
写真立てや、私が「もう使わない」と捨てたはずの髪飾りがセンス良く並べられていた。
「…………………え？」
その中にひとつ、どうしてそこにあるのかわからないものが布の上に置かれていた。
私が昨日川へ投げ捨てたはずの写真アルバムだ。
ゆっくり手を伸ばすと、かなり湿っていた。
水分を多く含んだことは明らかだった。
確かに川に落ちたということだ。
「なのになんで……」
「ん〜……？」
小瀧くんが寝返りを打ち、こちらを向く。
私と目が合って、少し固まった。
状況を理解してから、目を真ん丸にする。
「…………Aちゃんっ！？」
ガバッと起き上がる彼のおでこからタオルが落ちた。
それを拾い上げ、小瀧くんをまた寝かせ、近くにあった洗面器の中の水で冷やす。
シートじゃなくてタオルか、今時珍しいな。
「あの……Aちゃん？」
不安げに揺れる瞳。
「お見舞いに来たの。小瀧くん、風邪なんだってね」
「えと……」
私の視線が写真アルバムに向けられていることに気づき、小瀧くんはまた焦り始めた。
〆．
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tomoshige - はゆなさんめっちゃいい人ですね、 (2019年8月1日 21時) (
レス) id: 0c3559fc26 (このIDを非表示/違反報告)
のんぴろーが欲しいお年頃。(プロフ) - このお話すごく好きです。 (2019年1月21日 20時) (レス) id: ceb3b02307 (このIDを非表示/違反報告)
はゆな(プロフ) - ももさん» ありがとうございます！ご報告も感謝です。一応許可はしてるんですよ。こっちの作品を見ていない人が、その方の作品を見れば、同じように胸きゅんを味わえるじゃないですか？つまり私のことを知らなくても、私の妄想で萌えていただけるなら、それは嬉しいことなんです！ (2018年11月14日 8時) (レス) id: 0cb07950a3 (このIDを非表示/違反報告)
はゆな(プロフ) - お塩塩さん» ああああありがとうございます(´；ω；｀)自分でも何回か読み直してます(笑)ちょこちょこ文章書き直したりしてるので、また気が向いた時に読み返していただけると嬉しいです！5回も読み返すって……相当気に入っていただけたようでなによりです(つω`*) (2018年11月14日 8時) (レス) id: 0cb07950a3 (このIDを非表示/違反報告)
もも - とても面白かったです！あの、いきなりなんですけど、この作品パクられてました！ (2018年11月8日 13時) (レス) id: 3b4fc1bd63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はゆな
| 作成日時：2018年10月27日 21時
