05.椅子と割引券 ページ5
〆.
朝は私の椅子を恨めしそうに撫で回していた小瀧くん。
今は、すごく幸せそうににおいを嗅いでいる。
「すぅ、はぁ……ああ、この温もりでご飯三杯はいける………」
やばい人と化すのである。
クラスメートはほとんど教室にいるのだが、やはり誰も口出ししない。
小瀧くんはトイレから戻ってきた私に気付かないし、バレてるとも知らないらしく、「舐めたい……」とか言い出した。
さすがにそれは勘弁してほしいので、気をそらせる。
「あ、枝毛だ」
「!?!?」
びゅん!と聞こえるほどの勢いで振り返った小瀧くんは、びっくりしてから、目を輝かせた。
私は枝毛やら傷んだ髪やらはさっさと抜いてしまうから。
そうして抜いた毛を机の上に素知らぬ顔で置いておくと、その後はもうお察しの通り。
彼は私の人形でも作るつもりなのだろうか。
「ところで小瀧くん、今日の放課後空いてる?」
「!?!?」
小瀧くんは口をパクパクさせる。
なぜか右手が震え出したので、指でつついてみた。
「!!!!!」
彼は多分、今日手を洗わないだろう。
「一緒に、ドーナツ食べに行かない?」
彼の前に「ドーナツ割引券(カップル専用)」を掲げると、小瀧くんは顔を真っ赤にしてぶんぶん頷いた。
「首、取れちゃうよ」
「えっ、あ、せやんな、」
せやんな、じゃないよ。取れないよ。
「カップル専用やけど、ええの?」
「うん。あ、小瀧くんが嫌なら流星誘うし…」
「嫌やない!行こう!流星なんか誘ったあかん!!」
「お前なぁ…」
呆れ顔の流星。
今日は小瀧くんと放課後デートです。
〆.
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tomoshige - はゆなさんめっちゃいい人ですね、 (2019年8月1日 21時) (レス) id: 0c3559fc26 (このIDを非表示/違反報告)
のんぴろーが欲しいお年頃。(プロフ) - このお話すごく好きです。 (2019年1月21日 20時) (レス) id: ceb3b02307 (このIDを非表示/違反報告)
はゆな(プロフ) - ももさん» ありがとうございます!ご報告も感謝です。一応許可はしてるんですよ。こっちの作品を見ていない人が、その方の作品を見れば、同じように胸きゅんを味わえるじゃないですか?つまり私のことを知らなくても、私の妄想で萌えていただけるなら、それは嬉しいことなんです! (2018年11月14日 8時) (レス) id: 0cb07950a3 (このIDを非表示/違反報告)
はゆな(プロフ) - お塩塩さん» ああああありがとうございます(´;ω;`)自分でも何回か読み直してます(笑)ちょこちょこ文章書き直したりしてるので、また気が向いた時に読み返していただけると嬉しいです!5回も読み返すって……相当気に入っていただけたようでなによりです(つω`*) (2018年11月14日 8時) (レス) id: 0cb07950a3 (このIDを非表示/違反報告)
もも - とても面白かったです!あの、いきなりなんですけど、この作品パクられてました! (2018年11月8日 13時) (レス) id: 3b4fc1bd63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はゆな | 作成日時:2018年10月27日 21時