望の部屋(宝物庫)

36.病院へ(なんでなんでなんで！？) ページ36

〆．



「ちょっと出かけてくるね」



そう言って家を出た。



…………わけなく。



そんなの口で言ったら望は泣き喚いちゃうもの。



置き手紙だけ残して、こーっそり出てきました。



どうせGPS仕掛けてるし、すぐに見つかるんだけどね。



病院に何しに行くのかって？



それは。



「……なるほど、次の予定日から二ヶ月も来てないんですね？」



「はい」



「妊娠の可能性ありますね。パートナーとは」



「一応、心当たりは……」



「じゃあ検査してみましょうか。妊娠でない場合もありますし」



「はい、お願いします」



産婦人科。



今の会話の通り、二ヶ月女の子の日が来ていない。



健康的な食生活、ほどほどの運動。



どちらかといえば………そっちの可能性が高い。



ドキドキしながら検査結果を聞いた。



「………だと思われます」



「………………そう、ですか」









「……………A？」



「望」



はやいなぁ。



GPS仕掛けてましたよ〜っていう自白かな？



「な、なんで産婦人科に。まさか、」



「ああ、ちょっとアレがご無沙汰でね？もしかしたら〜と思って」



「それで、」



「ふふ、違ったよ」



「え」



「ストレスが原因かもって言われちゃって」



「ストレス！？！？」



望は目を丸くし、口をあんぐりと開け放った。



「ストレスって、知らない間に感じてるらしくて」



「そ、そんな。俺との生活で……？」



かなりショックを受けたみたい。



望のせいだなんて思ってないんだけどな。



「っ、A………」



「泣きそうな顔しないで？ほら、よしよし」



頭を撫でると、ぎゅっと抱き締められる。



「……ハグしたら、ストレス軽減するって、」



「確かに今ストレス飛んでったかも？」



常に視線(レンズ含む)を感じる生活に、疲れていたのかもしれない。



カメラのない、ただの路上が安心するなんて。



「望、今日は晩ご飯外で食べて帰ろっか」



「！！！」



「お持ち帰りなしで。私のために」



「うう、わかった、」



そのしゅんとした顔は可愛くて幸せだから、好き。



〆．

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