望くんと彼女。

25-1.私と私になった彼【リク】 ページ40

〆．



………………見覚えのある部屋。



ただし、私の部屋ではない。



目が覚めて一番に、望の部屋である象徴(壁に貼られた私のポスター、特注らしい)が視界に入ってきたから確か。



昨日はちゃんと自分の部屋で眠りについたはずなのにな。



うーんと伸びをして、気付く。



「……………………望になってる？」



ありえない。ファンタジーだ。



でも、体中触っても、鏡を見ても、明らかに望。



てことは………



「望が私になってる、のかな？」



うわ、声も望だ。



これでまさか、「いや、私も私だよ？」みたいな展開になったらどうしよ。



とりあえず連絡を取ろうとケータイを探したら、



「………なんで？」



そこにあったのは私のケータイ。



「…………あ、そうだ」



ちょっと、この状況を利用させてもらお。



カメラの自撮りで、キス顔やキメ顔を保存していく。



うん、やっぱり望は整った顔立ちだな。



録音で、愛の言葉とか囁いちゃったりして。



望の気持ち、わかるな。



「ふふ、これでいつでも聞ける」



満足してから、望に連絡を入れた。



『俺もAになってもてる！最高！』



ですよね。



『戻る方法わかんないから、一度、会おう？』



『もうちょっとだけ堪能させてください！！』



思春期男子の考えることはよくわかるけど、それを自分の体でされてると思うと大変。



『だーめ、早く会いたいの』



そう送ると、ハートのスタンプが大量に返ってきた。



『今すぐ行くわ！らぶ！』



『待ってます』



私の体で何してたか聞こっと。



〆．

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