望くんと彼女。

08.なりたいものと二人の会話 ページ11

〆．



「俺、Aの部屋のカーテンになりたい…」



望が唐突に言い放った。



いや、そうでもないか。彼は普段から私の身辺のものたちになりたがっている。



いつもの願望がつい、ぽろっとこぼれたんだろう。



「カーテン？」



「んん。Aのこと、周りから見えへんようにできるし。部屋におるAのこと見とけるし」



欲を隠さなくなったなぁ。



元々隠せてなかったけど。



「ちょっとお手洗い行ってくるね」



「はぁい」



さすがにこういうのは盗聴とか自重してくれてるらしい。信憑性はゼロだ。



「なー、望」



「あ、流星」



「他になりたいものないん？」



「あるに決まってるやろ！まず、掃除機になりたい。Aの部屋に落ちてるもの全部吸い込みたいねん、もちろんごみな？俺にとってはお宝やねんけど…。



靴にもなりたい。Aに踏みつけられて、Aの足の匂いを存分に嗅ぎたい……。ついでにスカートの中も覗けたらええな。



ボディソープもええなぁっ、Aの肌に触れて綺麗にして……うう、興奮してまうっ！排水口に流されながら、Aの体を拝みたい……。



鏡もええよな、Aが化粧したり美肌ケアしてるのをあんな間近で眺められんねんから！しかもAに見つめられるなんて幸せ過ぎる！



箸も憧れるわ、やって最高やん？Aの食べるものに触れられる、あの柔らかな唇や甘い舌に触れられる、唾液に包まれる、A愛してる……」



「お前がド変態やって再認識したわ」



「でも下着はほら、やっぱまだ早いから」



「早いとかないやろ、なられへんやろ」



「無難なんはマスクかな？Aが風邪引いた時に、Aの風邪菌をうつしてもらいながら、たまにキスしてもてさ……うひゃー、たまらんなぁっ」



「うつしてもらうって何なん」



「ただいまー。あ、望と流星喋ってたんだ」



「おかえり♡」



「俺、望がいつかやらかすと思ってるから」



「奇遇だね、私もだよ？」



〆．

09.相合傘と愛してるロボット→←07.欲しい物と欲しい者

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す