シャンプーだけの関係でも。 (ページ7)

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07.Daiki ページ7

〆．

「今日はA、来おへんのかな」

ある日の金曜日。

毎週楽しみにしてて、自覚するくらいそわそわして過ごしたのに……。

もう閉店の時間やし、来るとしたら明日になるやろうな。

「あー、Aさん」

「そ。残業あるなら明日か」

店じまいを始めた俺と神ちゃん。

話題はAについて。

「でもさー、シャンプーだけやねんなぁ。いっつも」

初めて言われた時はびっくりしたな、シャンプーだけやなんて。

それくらい、俺のシャンプー上手かったってことやん？

シャンプーだけで褒めてくれる人、Aが初めてやってん。

付け足したように「気持ちよかったです」って言うお客さんはおったけど、

シャンプーだけを頼むくらい気に入ってくれたんはAだけ。

「しげのシャンプー気に入ってるみたいやもんな」

「でもさぁ………困るわぁ」

そこまで俺の気持ちを揺さぶって、虜にしたくせに。

「シャンプーだけって、少なすぎ。もっと……」

もっともっともーっと、一緒におりたいやん。

「あーあ、Aがお客さんやなかったらなぁ」

告って振られても気まずくならんやろうに。

もし気まずくなってもて、次週以降来てくれへんくなったら？

無理無理無理無理！！

俺の週一の楽しみがぁあ！！！！

「しげ、はよシャッター降ろして」

「うあああ」

俺の言葉をAが誤解したなんて一ミリも知らん俺は、

あまりにも呑気過ぎたんや。

〆．