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目の前で顔を青くさせる弟子を見る。
恐らく俺は情けない顔をしているんだろうが…。

何故そうなった??

愛弟子は泣きそうな顔でこちらを見ている。
いや…いや、な、何事だ??何故??



「Aはおかしな事を言うな!!そんなことはないぞ!そうですよね、父上!」



杏寿郎の声で意識が戻された俺は、まだ収まらない動揺を悟られまいと口を開いた。



「あぁ。だが何故突然?誰かに言われたのか」

「何!?そうなのかA!」

「い、いえ!事実なので気にしていませんが…」

「言われているのか!?誰にだ。どんな奴か覚えているか?」

「え、ええと…あ、兄弟子は覚えていますか?
あの、一昨日お会いした方で…」

「あぁ!あの黒髪で短髪の男か?」

「そ、そうです!」



一昨日うちに来た黒髪で短髪の男か。
まさか俺の弟子に口汚く罵詈雑言をとばしたのではないだろうな…。
……やはり一から叩き直す必要があるか?最近は怠慢が目立つのも確か…。



「そ、そうではなく…。

あの、お師匠様に木刀を振るった時、なんと言いますか…ち、力が上手く入らなくて…」

「力が?」

「は、はい。その、元々女であり、まだ子どもである自分はもちろん痛手を負わせるようなものは出せないと理解しているんですが…。

こ、今回のものは少し違うといいますか…。
う、うーん…こう、力のこめ方が分からない と言うんでしょうか…。

す、すみません!曖昧な言い方しか出来なくて!」

「いや、分からんでもない」



確かにあの攻撃は妙に力が入っていない感覚はしたな。単純に慣れていない動作だからかと思ったんだが…。



「A、杏寿郎の稽古の後にもう一度手合せするぞ」

「は、はい!」

「父上!俺も見ていても構いませんか!?」

「あ、あぁ。構わんが…。
瑠火からも聞いたが、本当にお前はAとずっと共にいるんだな……」


「はい!Aの事は大切なので!」


「わ、私も兄弟子の事が大切です!」



…むぅ、仲睦まじい事は何よりだが…。
男女の距離感というものを教えた方がいいのか…?

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作者名:希の望 | 作成日時:2019年9月21日 10時

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