貴「あなたに会いに来ました」

貴「“欲”と私の意志は、別物ですよ」 ページ12

木の枝の上に乗って、ぼんやりと辺りを見通す。

どこまでも、どこまでも遠くを見る。

あ、ゼノがいる

相変わらず旅を続けてるんだなぁ

しかも、私たちと反対の方向に。

こんな調子じゃ、絶対追いつかないな

目を使うのをやめて、ヨナたちの天幕の方を見る。

みんな寝てしまったようで、静かだった。

でも……









A「起きてるんでしょう？ジェハ」









ジェハの場所まで聞こえるかどうかの声を出す。

案の定、ジェハは起きていて

私の寝ている木の下まで歩いてきた。









A「そんなに睨まないで下さいよ、ジェハ」

ジェハ「ちょっとAちゃんに、聞きたいことがあってね」

A「なんですか？」

ジェハ「ここに来た“本当の”理由はなんだい？」









本当の理由………

それを君に言う気にはならないな

あのお方に気に入られた君たちには









A「ねぇ…ジェハ。私があなたと口をきかなかった理由、わかりますか？」

ジェハ「さあね。僕が君に敵意を抱いていたからかい？」

A「あなたが四龍だったからです。まあ、今思えばお恥ずかしい限りですが、あそこは私が見つけた四龍に会わなくて済む場所だったんです」

ジェハ「僕が居場所を奪ったと？」









そう言う事に決まってんじゃん

せっかくの安寧の場だったのに









A「そんなこと思っていません。あのときは未熟で、まだまだだっただけです」









そういった後、ストッ…と枝から降りる









A「全ては私の中に居る“欲”のせいです。あなたが悪いわけではありません。本当にすみませんでした」

ジェハ「………別に、怒ってないよ。」









沈黙が続く。

こっちとしてはもう寝たいんだけどな









A「では私はもう寝ますね。ジェハも体を休めてください」

ジェハ「………あぁ」

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