思い出して ページ9
「久しぶりに見た。」
蘭たんは少しだけ微笑みながら
私に話しかける。
私は蘭たんをここに連れてきたかった。
身の回りには沢山の机と椅子、どれも
しゅーさんと見た夢の物より大きい。
傷だらけの黒板。
床に落ちた散らばったチョーク。
割れた窓ガラス。
そう、高校だ。
「蘭たん、私は夢の正体に気づいたの。」
笑顔で言う。
夢の不気味さは、いつの間にかふわふわとした幸せの淡い白色に上書きされていく。
「思い出して。」
私の大切な友達、蘭たんにそう告げる。
小さな空白の中に大きな風が吹いた気がした。
思わず目を閉じてしまう。
「A……。」
蘭たんの声で目を開ける。
蘭たんは私の方を見ていなくて教室の隅を
見ていた。不思議に思い私も蘭たんが見ている方へ目を向ける。
あぁ……。
やっと会えた。
あの時私に思い出してって
伝えてくれた彼女だ。
その彼女が目の前に立っている。
「久しぶりだね……蘭たん。それと」
その彼女は私の方に向き直る。
そして目を合わせずに薄く微笑む。
そんな仕草が彼女らしい。
「はじめまして……未来の私。」
彼女は古臭い真っ黒のセーラー服をきていた。
将来の姿がこんなので申し訳なくなって眉を寄せてしまう。でも、少しは成長しているはず。
初めてだ過去の自分と会うなんて、これも夢だから叶った事だ。
不本意だが少し感謝なんて感情もある。
「思い出して……くれるかな……？」
不安気な表情で、蘭たんを見つめている過去の自分は、昔起きた事を他者の目線で見ているようで不思議だ。
「やっと、思い……出した……。」
蘭たんはポツリと言った。
そんな蘭たんの様子を見て
過去の私は笑顔になる。
そんな風景を私は遠目で見つめていた。
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あるまり(プロフ) - 葉月さん» 返信遅くなってすみません、コメントありがとうございます。夢小説らしくないっていうのは初めて頂いた言葉で、とても嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします。 (2019年1月19日 0時) (
レス) id: 092c2fd24d (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - なんというか……良い意味で夢小説らしくない夢小説というか、純粋に続きが気になる作品で読んでいていつの間にか涙が出て来てしまいました。これからも応援しています。 (2018年12月30日 5時) (レス) id: 87837aefcb (このIDを非表示/違反報告)
あるまり(プロフ) - 碧華(プロ画自作隼)さん» コメントありがとうございます。応援とても嬉しいです。最近は更新遅れていますが頑張りますね。 (2018年10月9日 7時) (レス) id: 092c2fd24d (このIDを非表示/違反報告)
碧華(プロ画自作隼)(プロフ) - 続きがとても気になる作品…。涙が勝手に出てくるくらい素晴らしい物語ですね。続き頑張ってください。応援してます (2018年10月9日 1時) (レス) id: 95ab3548f5 (このIDを非表示/違反報告)
あるまり(プロフ) - はなさん» コメントありがとうございます。そんなふうに言ってもらえてとても嬉しいです。更新楽しみにしててください。 (2018年8月9日 15時) (レス) id: 092c2fd24d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あるまり | 作成日時：2018年5月31日 20時
