Full of love

Embrace everything　ー紫.廉 ページ12

永side



“もう精神的に可笑しくなる！！”


そんなん、俺の方こそ可笑しくなるわ


“全部、全部あんたのせいよ！！”


なんでなん、悪いんはあんたの方やろ





静かな夜に暴 力の音が響いた





「おはよ！廉！って、どうしたの？その顔、！」



いつも通り学校に向かった俺、



仲の良い友達の海人から聞かれてしまった昨日の傷



やっぱり、気になるよなぁこんなに絆創膏やらガーゼやらついてたら



でもごめんな、本当のことは言えんのよ




「あぁ、これか？昨日ぼーっとしながら歩いてたら電柱にガコーン行ってもうて、」



我ながらに苦しい言い訳やな



「え、！？大丈夫？病院行ったの？」

「おん、行ったで」

「それで？」

「命に別状は無いって」

「そっかぁ、良かった」



海人は何かを察したんか、それとも本当に信じたかは分からんけどそれ以上は何も聞いてこんかった



「あ、そういえば！廉さ、幼なじみいるでしょ！」

「は？」



俺に幼なじみ？



俺の家庭は複雑で親戚なんかもほぼおらんけど？



「あれ〜？昨日、廉がトイレ行ってる時に幼なじみだって言う人来たんだけど…」

「知らんわそんな人」



悩みながら隣を歩く海人と同じ教室へと向かう



すると、しばらく悩んでいた海人が急に大きな声を出した



「あ、！昨日の廉の幼なじみさん！」

「はぁ？だから俺には幼なじみなんておらんて」

「いや、だって！そこに！」



と指がさした方向を向いていれば、見たことあるような無いような顔のイケメンが



教室のドアの前で女子達に囲まれていた



「おぉーい！廉の幼なじみさーん！」

「おい、呼ぶな！俺、あいつのこと知らんし！」

「え〜、知らないなんてショックだなぁ」



いつの間にかこっちに来ていた彼は



後ろからハスキーボイスで耳元に囁くように喋りかけた



「ちょっと無視ー？廉くーん？」

「俺の名前！」

「あ、やっとこっち向い、っ！」



ずっと前を向いていた俺が後ろを向いたから



多分彼は、“やっとこっち向いた”って言いたかったんやと思う



でもそんな彼も俺の顔を見るなり固まった



そして昨日ついたばかりの頬の傷を



ガーゼの上から優しく撫でるように少し寂しげな表情で彼は触った



そして



「守れなくてごめん」



と、一言呟いて俺を抱きしめた



まるで、俺の全てを知ってるかのように








お前は一体何者なん

end

kiss face　ー紫廉→←request　ー作者

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