これからは ページ3
少年は紙飛行機を優しく拾って渡してくれた。
｢ありがとう｣
近くで見ると、少年はより一層綺麗な顔立ちをしていた。
｢いえ。あの、僕、レギュラスと言います。レギュラス･ブラックです｣
｢私はA･ウェルズリー。私たち、歳も近いようだし仲良くしてくださると嬉しいわ｣
レギュラスは｢こちらこそ｣と微笑んだ。それから私の手の中の紙飛行機を見つめていた。私はレギュラスも紙飛行機で遊びたいのかしら、と思って言った。
｢ねえ、あなたもこれで遊びたいの？｣
レギュラスは予想外の言葉に驚いていた。そしてふふっと笑った。
｢いえ、そういう訳では無くて…。ただ、紙飛行機で遊んでいるAさんがとても楽しそうだったので。それに僕には遊び方が分かりませんし｣
｢…もしかしてあなた、紙飛行機で遊んだことがないの？！｣
私はレギュラスの手を引いて私の屋敷へと連れて行った。そして紙飛行機の基本の折り方を教えた。2人とも自分の紙飛行機を作り終えて、庭へ出た。
｢遠くまで飛んだ方が勝ちよ！｣
斜め上へ思いっきり紙飛行機を飛ばした。レギュラスは慣れない様子で｢えいっ｣と飛ばしていた。そうすると、レギュラスの紙飛行機の方がふわふわと長く遠くまで飛んだ。
その後も、私は色々なひとり遊びをレギュラスに教えた。
花かんむりを作ったり、雲の形で想像を膨らませたり、影絵、他にも色々。
｢Aは沢山の遊びを知ってるんですね。凄いなあ｣
｢ずっと1人だったから。寂しさを紛らわすために覚えたの｣
少し俯いて言った。レギュラスは私の名前を呼んだ。
｢A｣
｢これからは、1人じゃありません。寂しい時は僕を呼んでください。2人で遊びましょう｣
その言葉を聞いて、なんだか心がむず痒くなった。多分、嬉しかった。
｢ありがとう｣
せいいっぱいの笑顔で言った。
続く
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作者名：Spica | 作成日時：2022年1月15日 1時
