2話 ページ3
眉を寄せ笑いながらこちらへ歩いてくる彼女
「ほな、行こか」
教材をもう一度持ち直して足を進めると遠慮がちに着いてくる彼女
化学準備室に到着し机の上に教材を置き部屋を出る
ここまで約5分
会話は一切ない
だけど不思議と気まずい感じではなかった
なんでやろなぁ
普通こんなんなったら空気重なるとちゃうん?
なんて考えながら本校舎に向かう
そういえばクラスを聞いていなかった
彼女と出会って約6分最初の会話以降初めて言葉を交わす
「自分何組なん?」
後ろを歩いている彼女の方に立ち止まって体を向ける
続いて彼女も立ちどまり目線が交わる
「2組です、1年2組」
「2組. . .あぁ○○先生が担任か」
「知ってるんですか?」
「去年俺の担任やってん」
「あぁ、それで」
「おん」
「先輩は何組なんですか?」
「俺は2年7組」
「2年生だったんですね」
「3年に見えたん?」
「ちょっと大人びてたから」
自然と続く言葉のキャッチボール
ほんのりと心が温まるようなこの感覚がむず痒くて心地よくてようわからんようになる
ただ思うのはもっと続けばいいのに
が、そんな思いも虚しく目的の1年2組の教室は見えてくる
まだ予鈴は鳴っていないからか廊下には真新しい制服に身を包んだ1年生が沢山いる
この中を2年の俺が歩いて行ったらだいぶ目立つやろうな
それを知ってか知らずか彼女はこちらを向くと
「ここで大丈夫です。助かりましたありがとうございます」
ぺこりと頭を下げる
「そんなかしこまらんでええよ、大したことしてへんからなぁ」
「でも私には大したことです。入学して1週間も経ってないのに授業サボりなんて悪目立ちしちゃいますから」
なんて肩をすくめて笑う彼女を見てまた心臓が高鳴った
気の所為だ自分にそう言い聞かせる
「では」
「おん、もう迷わないようにな」
「善処します」
ちょっと困ったように笑うてくるりと向きを変え自分の教室に向かって歩き出した彼女
ほんの数十分の出来事だったがまるで数時間の大冒険をしたかのような疲労感
名前も知らない彼女に抱いたこの感情の名前を知るのはまだ先の話
277人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
エトワール(プロフ) - 麗さん» ご指摘ありがとうございます。作品を更新する際メモに下書きをしてそれをここで加筆修正しながら投稿しているのですが私が下書きで使ってる夢主ちゃんのデフォ名を消し忘れてました!!本当に申し訳ありません、助かりました。ありがとうございます (2020年11月22日 2時) (レス) id: ea6765c315 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 21ページ 美命 とありますが誰の事ですか?? (2020年11月21日 16時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
エトワール(プロフ) - マオマオさん» コメントありがとうございます!面白いと言っていただけて本当に嬉しいです。及川さんはこれから出番が増えますので楽しみにしててください!よろしくお願いします^^ (2020年11月19日 19時) (レス) id: 446df64440 (このIDを非表示/違反報告)
マオマオ - 作品とても面白いです!及川さんも出てきてこれから作品がどんな風に展開するのか楽しみです!!更新頑張ってください(●´▽`●) (2020年11月18日 19時) (レス) id: b813efa886 (このIDを非表示/違反報告)
エトワール(プロフ) - むいみおさん» 初コメありがとうございます。2人くっつけようか迷ってます笑更新頑張りますのでご愛読よろしくお願いいたします^^ (2020年10月26日 8時) (レス) id: ea6765c315 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ