第5章 私に出来る事。 ページ5
「奈々……死なないで………奈々っ……」
凛くんって弱いから守ってあげたくなる。
最初は知らない人でも、私が記憶を無くす前から
付き合っていた「彼氏」なわけだよね
だからなのか、顔とかすっごいタイプだし
一緒に居て心地良い。
「凛くん、私は死なないよ」
「う……ゴホッ……」
凛くんが苦しんでると悲しいな
今まで、私の面倒を見ててくれた優しい人だもんね
知らない人なんて言い方は違う。
だけど、私と凛くんが写っている写真を見ると
ちょっとだけ、怖いって思う
あの日の思い出も記憶もないから
もう1人の私を見てるみたいで
「私が凛くんを好きになった理由って何だろう」
薬が効いたのか、凛くんは静かになった。
「私は誰だろうね」
ところで、私のお母さんとお父さんは居ないのかな？
＿＿＿＿＿＿＿＿
恋人同士じゃないけど、触れ合うのは普通なのかな
「ひゃあっ…！り、凛くんってすぐ甘えるね…///」
「ごめん、少しだけこのままでいい？」
凛くんの柔らかい笑顔に少し安心した
寄りかかる重い感覚が、心地良い
「うん、凛くんならいいよ」
「気…使ってる？」
「そんな事ないよ」
嫌じゃない、全然そんな事ない。
「奈々…我慢するのはやめてね」
「凛くんも我慢したらだーめ」
「そう…じゃあ」
「っ……///」
凛くんって、いたずら好きなのかな
ソファの上に押し倒されてしまった
無防備な自分も悪いかもしれないけど
「我慢…しないよ？」
「っ……///」
近くなる距離に、鼓動が速る。
そういう事ってしてもいいの？
とか言えない。
「……ごめん、冗談だから」
少しだけ残念そうな顔をして、凛くんはソファに座り直した。
「あ…凛くんは今の私で満足できてない？」
「恋愛感情なしにそんな事、できないと思った」
「そうだね、タイミングって難しいもんね」
気を使ってるのは、凛くんの方じゃない？
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作者名：そら | 作成日時：2021年1月14日 21時
