そんな日常 2

○ほくととゆるゆる ページ39

先ほどから視線を感じております、松村です。




松村｢なに？｣




｢……べつにー？｣




ちらちら、とこちらを見ているのは確かなのに。




さっきからこれの繰り返しだ。




今は俺と彼女のふたりだけ。




珍しく部屋から出てきてるんだけど……




｢……ね、｣



呼ばれたかと思ったらソファを叩いてこっちを見てきた。




横に来い、って合図。



｢北斗と二人きり、久しぶりだよね？｣



松村｢そうだね、最近はお互い仕事あるから。｣



｢……ねえ、かまって？｣




松村｢めずらしい、どうした？｣




｢……そういう気分｣




彼女が俺の肩に寄りかかると髪が触れる、くすぐったい。




｢あートリートメントそろそろ買わなきゃ｣




松村｢ヘアミルク？ヘアオイル？｣




｢うん。結構高いんだよねえ……一応アイドルだしお金かけるようにしてるんだけど。｣




彼女の髪はツヤツヤです。




ツヤツヤです。




｢北斗、高いアイロン使ってるでしょ？いつかあれ欲しいな｣



松村｢使ってんじゃん。｣



｢巻くやつもほしいの。｣




松村｢俺らはストレートアイロンでもいいけどAはふわふわさせるの好きだもんなー。｣



｢うん、好き。｣



｢髪染めようかな｣



彼女はまだ髪を染めた経験がない。




仕事上いずれは来るだろうと思っているみたいだけどなかなか来ない。




｢アッシュとかグレージュとか、オリーブベージュとかもいいよね｣



松村｢全部可愛い。｣



｢……北斗次染めるなら何色にしてみたい？｣



松村｢えーでも役で染めるならあんま奇抜なのなくない？｣



｢ん〜……緑髪？むらさき？｣



松村｢いやしねえよ｣

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