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「流星 この後呑みにいかん?」
青 「あーごめん。このあと用事あんねん」
「今日もなん?えらい忙しいなぁ」
青 「うん、、ごめんな?」
「ええよええよ!また行こや!」
青 「うん、じゃあまた明日」
俺の想い人である流星
最近様子がおかしくて
仕事が終わったらそそくさと家に帰ってまう
俺が避けられてるだけなんかな、なんて考えたりもしたけど
淳太の誘いも断ってたし 仕事の合間の休憩時間も楽屋におることが少なくなって
なんやろ 俺の勘やけどなんとなくメンバーを避けてるみたいな…
なんか隠してることがあるんちゃうかな、って思ってまう
声出しにくそうにしてたし風邪ひいたとか?
ん〜でも元気そうではあったしなぁ
まぁ、なんも分からんし考えてもしゃーないんやけどな
流星に誘いを断られたし俺も帰ろーなんて楽屋をでてエレベーターを待ってる時 ふと目に留まるぽつんと廊下に落ちている光り輝くなにか
「なんやこれ…うろこ?」
きらりと光るそれは魚のうろこで
見たことないくらい吸い込まれそうなくらい綺麗なそれ
そのうろこが使われていない奥の会議室までぽつぽつと落ちていて 引き寄せられるようにうろこを拾いながら会議室のドアを開ける
まるでヘンゼルとグレーテルみたいや
うろこを拾ってたどり着いた暗くて狭い部屋の中には顔を埋めて泣いている
「りゅ、りゅうせい…?」
「っ!はまちゃん…」
好きな人がいた
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「流星 どうしたん?なんかあったん?」
大きな瞳に涙をためて 足の裏をさする流星
目をまん丸にして驚いていた流星は 俺の持っているうろこを見た瞬間 血相を変えて
青 「はまちゃん!そのうろこどこで拾った!?」
「え、?どこって…エレベーター前に落ちてて……そのまま落ちてるうろこ辿っていったらここに着いたんやけど…」
青 「そ、そっか…」
聞くだけ聞いてそのまま項垂れて自分の腕に顔を埋める流星
その細い腕には薄い光るうろこが付いていて
「流星釣りにでも行ってきたん?うろこついてんで」
ってあれ?流星は今の今まで俺らと仕事してたやん
釣りになんて行ってるわけない 魚に触れ合ってるわけがない
自分の頭の悪さに驚きつつも 疑問に思って流星を見ると絶望したかのように顔を真っ青にして 今にも消えてしまいそうで
「流星?大丈夫か?」
肩を優しく叩くと 引っ込んでいた涙がまたポロポロと流れだして
出しにくそうな声で囁く
青 「はまちゃん たすけて」
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作者名:そる | 作成日時:2024年4月3日 0時