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着いたのは江戸川区の住宅街に建つ少し古びた3階建てのペナント事務所ビル。実家からは離れているものの、何度か訪れた事のある土地だ。
ガラスドアの1階は覗くとカフェになっていて、ウッド調の店内はカウンター席と数席のテーブル席が用意されている。阿部はそのドアの隣にある2階に繋がる外階段を上っていくので後ろからついていけば、階段の先、ドアを開けた。短い廊下を歩き突き当りにあったのは申し訳程度に置かれた何でも屋、と文字の並ぶ木製の看板のかかる曇りガラスの小窓付きのステンレスドア。ドアノブを捻って押せばカランとベルが鳴る。
「いらっしゃ…あ、阿部ちゃんだ。久しぶり〜」
5つのオフィスデスクで形成された島の王様席に座る男性はふにゃりと笑って阿部に手を振っている。その手元には何か工作を行っているのか小さなフィギュアが並んでいた。
彼の右斜め前のデスクではオフィス椅子に裸足で両足を乗せて携帯ゲーム機を操作している男性の姿。こちらには見向きもしない。
ab「15時から先輩にアポとっていたんですけど、いらっしゃいますか？」
「えーっと…、あれ、さっきまでここに居たはずなんだけど。ねぇ、どこ行ったか知らない？」
「来客準備してたから、そのドアを開けた先の応接室だと思いますよ」
「だって」
「っあー、いいとこだったのに」
多少イラついた素振りでゲーム機を机に置いた男性がようやくこちらを向いた。
目があえば即座に顔を背けたが、間違いなく眼帯が彼の左目を隠していたのが見えた。
何かの治療中と考えることも出来る。しかし、自分は別の理由のもと前髪で左目を隠している状況。
一概に怪我病気が原因だとは言い切れない。
内心動揺したのが見抜かれたのか、おっとりとした口調の男性は意味深に微笑んだ。
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柊(プロフ) - コメント失礼致します。端的に言って、このお話が大好きです。最後まで来て一年以上前から更新されていないことを知り、「ふっ、、ふっか！？！？」と、今後の展開にパニックになりました。気長に待ちますので、更新を期待しても宜しいでしょうか。 (2022年9月1日 22時) (
レス) @page41 id: 27767aadd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紗絢
| 作成日時：2021年1月11日 22時
