・ ページ23
・
「あー、昨日の康二のね。
流石すぎて俺までよく言った！って言いそうになったもん。ノーマルだけど」
オーダーしたカクテルとチーズをつまみながら、社長は昨日の出来事を思い出しているらしい。
「それにさ、あの大演説のあとわざわざ俺の所まで来て頭下げたんだよ。
『目黒のこと辞めさせないでくれ』って頼み込んできた。」
「すっげー目黒にこだわってるんすね、康二くん」
「康二なりに思うことあったんだろうな。
血の繋がってない兄貴を助けようと必死な昔のあの人見てる感覚だったよ」
「あの人？」
「俺らの事務所に所属するキング」
「言っときますけど先輩のことその名で呼べるの斗真くんだけっすからね？」
「俺も怒られるから本人には直接言えねぇよ」
細まった目で楽しそうに話す社長は、本当に先輩と仲がいいんだななんて思う。
「キングの兄貴が闇市関連の事件に巻き込まれた時に血眼になって救い出そうとしてたんだよ。
自分が能力者だってのを最大限に生かして。」
mm「えっ、あの先輩も能力者だったんですか？」
「そうだよ。確か時間操作じゃなかったかな〜」
社長が包み隠さず先輩のことを話すものだから、そんなにベラベラと話していいのかと気にかかる。
いくら俺が能力者でジェシーくんが能力者に理解があるとはいえとんでもないスクープにだってなりかねない。
ジェシーくんも同じことが気になっていたみたいで、驚いた声を上げる。
「話しちゃっていいんですか？」
「本人はその辺気にしてないつってたからいいんじゃない？」
「だとしても時間操作ってめちゃくちゃ持ってる人少ないはずですよね。
今回みたいにバレてたら先輩だって立場が危うくなるんじゃ、」
その疑問に対し、社長は俺の解釈だけどって言ってから話し始める。
「この国の風潮的にはさ、能力者の立場が弱いってなってるし、能力者自身もノーマルを『普通』って見てるから『普通じゃない』自分たちは目黒みたいに必死に能力を隠すわけでしょ。
でも、あの人は能力者という存在を受け入れてくれる人と付き合えればいいって考えてた。
別に弱者でもないのにデフォルトの優劣を受け入れるよりも、対等になろうとしてる感じがするな」
それに、
社長は俺の目をしっかり見つめながら微笑んでくる。
「そこでようやく、優ってると思ってた人達が劣者と思ってた人の本質を見て改心するきっかけづくりになったりもするじゃん？」
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1458人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紗絢(プロフ) - 葉月さん» 葉月さん再びコメントありがとうございます！本Episodeも楽しんでいただけますよう頑張ります(^^) (2021年1月16日 22時) (
レス) id: 76dfa23ffd (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 移行おめでとうございます！これからも頑張ってください！楽しみにしてます！ (2021年1月15日 22時) (レス) id: 5fa35a3299 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紗絢
| 作成日時：2021年1月15日 18時
