・ ページ23
・
iw「存在意義を能力だけで見出そうとするのが、康二にとっての普通になってんの？」
無償でもノードクターの仕事を続ける理由が、能力を使ってあげる相手を見つけるため？
俺にとっては理解しづらいその考えに行動の本質がまるで読めない。
kj「アホやろ、俺」
ポツリ、気弱な声がエアコンの作動音に紛れるように空気に溶ける。
kj「ノードクターとして仕事しとれば、絶対誰かから必要としてくれるんよ。
頭もよくないし何の取り柄もないんやけど、
＿＿＿＿俺にしか出来ひんことやから、それが生きる意味になる」
溜め込んでいたものを全て吐き出すように連なる言葉を、黙って聞くことしか出来ない。
iw「だからって自分の体力擦り減らしてまでやんなくたって、」
kj「その方が頼られてるって感じするやん。誰かの為になってるんだって身をもって分かるんよ。
阿部ちゃんとかもそう思わん？
情報収集の能力が捜査とか色んなとこに役立ってることが嬉しいって思ったことない？」
ab「ある、けど・・・」
kj「それと同じ。
俺の治癒能力は他の人よりほんの少し負担が大きいから疲れやすいだけ。」
自己犠牲がすぎる、どこか誇った顔で話す康二を見てそう考える人は少なくないはず。
俺も捜査のための情報収集を能力で使うことがあるし、だから佐久間の件とかが解決出来たわけで。
もちろん今の学力や地位を能力が無い状態で得るには本当はもっと何倍もの努力と時間が必要だったとも思う。
けれど、能力にはあまり依存しないで生きてきたつもりだ。
勉強そのものが好きだからただの補助機能にすぎなかった。自分にしか効果のない能力を瞳の色を変えてまで人前で使うには憚られる。
対して康二の能力は他人を恐怖に貶めることもなく全てにおいてプラスに作用するもの。
周りの感謝に感化されるように、康二も自身の治癒能力に知らぬ間に依存していたのだろう。
他者からそればかりを求められることで、
他者からの希望にこたえようと思い続けることで、
＿＿＿＿時に信頼は枷にも豹変する。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1947人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紗絢
| 作成日時：2020年11月2日 17時
