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iw「阿部、本当は俺が康二についてった初日で止めることも出来たわけだから見逃してやって。」
頼む、照がそう言って頭を下げたのには驚いたけど、敢えて泳がせるように指示したのは俺らだ。
ab「大丈夫だよ。
この件についてはふっかに報告するけど、法定の利用行為で済むようにはしとくから安心して」
iw「・・・あのさ、その何かある度いちいち難しい言葉使うのやめてくんない？」
ab「えっと、本当は犯罪行為にあたるけど、それで金銭の授受をしたり誰かが不利益を被るわけじゃないから見逃してあげるってこと」
iw「なら最初から俺みたいに見逃すって言って」
ab「警察官として働いてもらう訳だから法律について最低限の知識は持とうか」
心底不機嫌そうな顔で拗ねられたけど、これは照に限った話じゃない。
警察学校とかを通らずにこの職に就いた第九係のメンバーはいつか法律とかそういうルールの壁にぶち当たることになるだろうから少しずつでも勉強して貰わないと困る。
もちろん康二にも。
ab「とにかく、今はゆっくり休んで万全の体調に戻してね。
カメラマンの仕事再開するにはまだ時間はあるから慌てなくていいよ」
kj「ごめんなさい、俺なんかに時間使ってもらって」
ab「いやいや、別に忙しいわけじゃないし。心配くらいはさせて」
kj「そんなことしなくたってええのよ。
何の役にも立てないんやから、ほっといてくれたってよかったのに」
ほんま優しいなぁ。
前髪に隠れて目元は見えないが、自らを嘲笑うような口調と無理矢理引き上げた口角が痛々しい。
何の役にも立てないって、まだ第九係として働いてるわけでもないのに。
むしろ康二が来てから家の雰囲気が一層明るくなったのだから十分役に立ててると思うんだけど。
iw「それが康二の不安の種？」
壁に体重を預け立つ照が口を開いたから視線を向けたけど、康二は俯いたまま手元のシーツを握った。
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作者名：紗絢
| 作成日時：2020年11月2日 17時
