Episode4 ページ1
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-side ？-
大きな衝突音がしたのは突然だった。
音のした方を振り返れば、歩道にトラックが乗り上げ、運転席はビルに突っ込んだまま煙を上げ始める。
周りにいた人たちも何が起こったのか分かっていないようだったが、次の瞬間には悲鳴が所々から聞こえてきた。
救急車を呼べ、
しっかりしろ、
死なないで、
騒然とする事故現場には様々な声が遠く近くで交差し、なぎ倒された人々は路上に倒れこむ。
道行く人々が救護に向かう。
俺ももちろんその一人で、これからの仕事のことなど忘れて怪我をしている老若男女に駆け寄った。
「ママ！元気出して！！」
声変わり前の高い声のする方では、男児がコンクリートに横たえる女性を揺さぶっていて。
母親だろう女性のフレアスカートから覗く脚は朱を流し、痛みに顔を顰めている。
どれだけ大きな声で息子が呼んでも呻き声を上げるだけだ。
「おかん痛い痛いしとるなぁ、」
男児の横にしゃがみ込んで声を掛けると、涙目の大きな瞳がこちらを向いた。
「すぐに元気にするから安心してな？」
失礼しますね、と母親が押さえている痛む箇所に俺の手を重ね意識を集中させる。
「どうです？立てそうですか？」
差し出した手を握った女性のさっきまでの苦しそうな顔はどこへやら。
「なんで…？」
茫然とする母親が立ち上がらせれば、男児は俺の脚に抱きついてきた。
「っ、ありがとうお兄ちゃん！！」
「どういたしましてやで」
目線を男児に合わせて、俺は橙の瞳で笑いかけた。
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作者名：紗絢
| 作成日時：2020年11月2日 17時
