警視庁捜査一課特殊犯捜査第九係Ⅳ (ページ10)

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(※喫煙描写あり)

fk「ひーかるっ」

屋上で煙草を吸っていたらドアの開く音とふっかの声がした。

iw「どうかした？」

fk「いや、屋上使ってる人あんまいないから珍しいなって」

iw「庭で吸ったら他の人の部屋に臭い入っちゃうかなとか思ってさ」

fk「あー、俺全く考えたこと無かったわ。偉いね。」

他にも空間はあるのに、わざわざ俺を端に寄せてふっかは隣で一本頂戴と強請ってきた。

持ってねぇのかよと毒づきながらもシガレットケースと火を渡す。

fk「大丈夫？」

iw「何が？」

fk「さっき翔太とのやり取り見て、照自身の状況と重ねて苦しくなってんのかなとか心配になった」

煙草を加えて火をつけながら放たれた言葉に、ピタリと俺の動きが止められた。

iw「…なんでふっかは思考全部見抜くの」

fk「なんでだろうねぇ、分かっちゃうねぇ、」

トントンと灰を地面に落とす自分の手を眺めながら、ふっかは口角を上げる。

iw「シゲも、もしかしたら自分の意志で俺らの前からいなくなったのかなって」

俺も自分の指先を眺めてゆっくり口を開くと、ふっかの視線がこちらを向いた気がした。

『第一志望先から内定出たんよ！内定祝いで3人で飲みに行こうや！今から帰るから待っとってな～～』

シゲの失踪当時、俺とシゲの親父さんも警察も、何かの事件に巻き込まれたと思っていた。

でもそれは単に帰宅の連絡を事前に受けていたからで。

ドタキャンではないけれど、康二みたいに仕事の予定があってもそれを全て捨てて突然別の生活をしたいと思い立った可能性もあるんだなって。

iw「そしたら…俺が必死になって探すのも違うのかなとか、考えてた。」

fk「いんじゃない？照が重岡くんのこと探すのは。」

そうだねって返されると思っていたから、予想外の返答に戸惑った。

fk「もし彼が自分の意志で居なくなったんだとしても、その理由を聞く権利くらいは照にもあると思うんだよね。

＿＿＿どんな関係性であっても、自分のことを気にかけてくれる人がいるってのは嬉しいことだから」

iw「・・・ふっか？」

fk「つってね！いやー、俺いいこと言ったわー」

陰影のある表情から一転、意図的にふざけた表情に切り替わったふっか。

言いたいことはあるけれど、きっと触れられたくないのだろう。

iw「ねぇ、せっかく感動してたのに全部台無しじゃん」

fk「まじー？感動してくれてたの？」

だから、俺は見て見ぬふりをする。