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第136話 ページ47

奏SIDE

それは、映画館で映画を見ている気分に近かった

暗闇の中に私は座って、目の前にあるスクリーンを見つめる
その中では、魔法が飛び交い、血が舞う

なんて、なんて他人事な風景なんだろう

これが本当に現実に起きていて、しかも『私』目線のものだとは思えない

ここはシーと交代した時、私が落ちてきた(?)場所

、、ていうか、

「早く儀式を進めようよ...
 なんで呪文を唱えないんだよっ」

交代した時、シーとのリンクが切れたため、儀式を進めない彼女の考えが読めない

皆、危険に晒されてるのに、、とイライラしていると、

「仕方ない」

淡々とした幼い声が聞こえた
その声に、そうだった、と気づく
……ここにはもう1人いたんだった

「どういう意味?」

尋ねつつ、声の方へ振り向く
そこには、"私"がいた
ただし、幼い姿の、だが

あの研究所を連想させる白い服を着て、感情の宿っていない顔で私を見つめている
そんな無表情と反して、トコトコと実に幼子っぽい可愛らしい動きで、その子は私の隣に来た

「今はシーがこの体の主どうけんをにぎっているから、
 シーのいしきは、この体と同かしようとしている」

7年前と変わらない淡々とした口調で、私の問いに答える

「でも、そうなればふう印ができなくなる
 "カナデ"が"シー"になってしまう」
「"私"が"シー"に……」
「そう。それはダメ
 だから、シーは同かをたち切ろうとしてる
 その時間」

なるほ、、ん?
納得しかけて、疑問が湧いた

「……同化って断ち切れるの?」

コクリと頷く"私"

「そもそも、シーをおもてに出したのは、いわゆるせいりせいとんのため」
「整理整頓?」

この儀式とはおよそ関係なさそうな単語だ

「シーを出して、中にある7ねん前のふう印ま法を、
 今回のえいぞくふう印のじゃまにならないように消きょする」
「それが整理整頓って事?」
「そう。そして同かは……」

"私"が言いかけて、口を噤んだ
そして上を見上げる
つられて上を見上げるが、そこには暗闇しかない
どうしたの?と問おうとして、

「きた」

そんな小さな呟きと突然の感覚に遮られる

「っ!!」

体の感覚が戻ったのだ
ただし聴覚と触覚と嗅覚だけが

クリアな音と感触、それと、、血生臭さ
だが、視界はスクリーンのままだ(味覚はイマイチ分からない)

なるほど、と今度こそ納得する
体の主導権を半分以上私に渡す事で同化を防いだわけだ

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設定タグ:魔法 , 記憶 , オリジナル   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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寒極氷化(プロフ) - 緋色 哀歌さん» まさかそんな評価がいただけるとは。ありがとうございます。マシだと思ってもらえるだけでも嬉しいです。 (2015年1月12日 13時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - 美燦雅★晏壽さん» んなわけあるかいなww (2015年1月5日 16時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
美燦雅★晏壽(プロフ) - 寒極氷化さん» わざと?w (2015年1月5日 16時) (レス) id: cad50b9778 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - 美燦雅★晏壽さん» ほんとや!!ww (2015年1月5日 15時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
美燦雅★晏壽(プロフ) - 寒極氷化さん» 121話だけ、「第」がないよ! (2015年1月4日 16時) (レス) id: cad50b9778 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:寒極 氷化 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kangoku/  
作成日時:2014年10月7日 18時

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