少女に記憶 (ページ4)

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第93話ページ4

中途半端で後味の悪い夢

お婆さんの死に顔がまだくっきりと思い出せた

私の意思とは無関係に上映された記憶の続きは、当然ながらある

あの後

サイレンサー付きの銃でお婆さんを撃った、あの2人組の仲間らしい男が出てきた
呆然としていた私はそのまま捕まるのかと覚悟したが、
私の起こした事態によって丁度やってきた"警察"が来たおかげで男は逃亡
私は助かった

裏話をすると、当時「人体実験」が裏の世界で"流行って"いたのだ
その原因が実はカインだったりする
今回、私を誘拐しようとしたのは、カインがその時所属していた組織とは別の集団
彼らは私の事情を知ったうえでかっこうの実験体と見て拉致しようとしたのだ
結局、彼らはこの件がきっかけで捕まったのだが

彼らが捕まった後、知らされた事実
それは、私とユイナの血が繋がっていないという事
実子は私、養子はユイナ
祖母は大の魔力持ち嫌いだったから、私を隔離した
ユイナはそんな私の代わり

そんなに嫌いならいっその事捨てればいいのに、と他人事のように思ったのだが、
どうやらそこはせめてもの情けで私は幸か不幸か孤児にならずに済んだ訳だ

しかし、私が家出した事を知ると、祖母はなんとか私の居場所を割り出して
人体実験の実験体を探しているという集団に、こっそり私を売ったようだ
…ユイナが赤髪赤目にしたのを知らずに

「って、何でこんな事思い出してんだろ」

自嘲気味に笑ってみた
成功してるか分からない

なんだか、頭の中をぐちゃぐちゃにかき回して、全部忘れたい気分だ
現実逃避ともいう

段々意識が冴えてきた

視界は焦点がどれにも合ってないような不明瞭さで、
感覚は麻痺したように自分が立っているのか寝ているのかすらも分からない
体は依然重いままで動かせないし…

さて、どうしたものかと思っていると、

『どうだったか？自分の過去の記憶は』

その不愉快な声には聞き覚えがあった

「カインね…
　あぁそうか、私、あなたの幻影魔法にかかったんだった」
『ククッおかげでいいものを見させてもらった』
「あなた、勝手に人の記憶を見たのね…悪趣味だわ」
『それは褒め言葉か？』
「そんな訳ないでしょう」

こんなに体が疲れていなかったら、カインに相当イラついていただろうが、
なぜだか倦怠(けんたい)感が全身を包んでそんな気力さえ湧かない

『おぉ、そうだ言い忘れていた』
「…何」
『お前にとって朗報だぞ？お仲間が助けに来てくれたようだ』