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第92話 ページ3

男のナイフで切り付けられたのは、心臓のある辺りだった

ユイナが、死ぬ

そう感じた刹那(せつな)、抑えきれない激情が身体中を駆け巡った

それは怒りで、憎悪で、絶望だった

すると熱に似た"何か"が集まり、まとまってゆくのを感じた

「イヤぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」

それを吐き出すように叫んだ

「あ?」「何だ?」
気づいた2人組が声を上げる

同時に、
私の中にあった感情に合わせて集まっていた"何か"が炸裂した

衝撃波となった"それ"は腕の黒い拘束具を破壊、男らを簡単に吹き飛ばす
それどころか周囲の木々すらも倒し、地面にはクレーターが出来る

大きな喪失感と共に"何か"が体内から放出されきった

そして体が傾き、視界がブラックアウトする寸前、見えたのは...


葉の少なく枝の鋭い木
周りと同じく倒れているその木の太い枝に刺さる赤いモノ

枝はソレを貫通したようで、ソレの真ん中辺りから血の滴る枝が伸びていた


ソレは、だらりと力無い腕と足がついていた

ソレは、赤くなってはいるが、ユイナと同じ服装をしていた

ソレは、、


私の持つ赤より少し明るめの赤い髪と赤い瞳を持っていた


…私の意識が途絶えた

・・・

そうだ

ユイナに残酷で、残虐で、理不尽な結末を与えたのは…


私だ


私が暴走したから、

私が赤じゃなくて黒が良いなんて言ったから、

私があの家を出たから、

私がユイナの妹だったから、

私があの家にいたから、

私が、、


私が存在したから…

ユイナは死んだんだ


しかも、殺した瞬間を自分が傷つかないがために一時でも忘れていたなんて…!


「あ、わ、私は、最低だ

 私なんて...

 いなくなればいいのに」

そう呟く私の手をお婆さんの温かい両手がそっと包んだ

「そんな事を言うもんじゃないねぇ
 それを罪だと思うなら、ユイナのためにもっと生きるべきだねぇ
 そして、自分が思う最良の償いをするんだねぇ」

温かいお婆さんの言葉
許された訳ではないけれど、少し心が軽くなった気がした

「うん…」

自分がいなくなってしまえばいいという思うは完全には消えなかったが、
私はコクリと頷いた

しかし、時は私の償いの時間を与えてはくれなかった

ポン

そんな軽い発射音のような音がして、

何かがお婆さんの頭を横から貫く

また、アカイロが飛び散った

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設定タグ:魔法 , 記憶 , オリジナル   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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寒極氷化(プロフ) - 緋色 哀歌さん» まさかそんな評価がいただけるとは。ありがとうございます。マシだと思ってもらえるだけでも嬉しいです。 (2015年1月12日 13時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - 美燦雅★晏壽さん» んなわけあるかいなww (2015年1月5日 16時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
美燦雅★晏壽(プロフ) - 寒極氷化さん» わざと?w (2015年1月5日 16時) (レス) id: cad50b9778 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - 美燦雅★晏壽さん» ほんとや!!ww (2015年1月5日 15時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
美燦雅★晏壽(プロフ) - 寒極氷化さん» 121話だけ、「第」がないよ! (2015年1月4日 16時) (レス) id: cad50b9778 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:寒極 氷化 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kangoku/  
作成日時:2014年10月7日 18時

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