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第105話 ページ16

一瞬、何が起こったのか分からなかった

うつ伏せになった体が床に張り付いたように動かない

「成功したな…
 そういえば銃をコイツの前で取り出せと言ったのはなぜだ」
「奇襲を成功させるための芝居ですよ
 敵の前で武器を出すことにより、
 相対した時点ですでに魔法を仕掛けているのでは、という発想をさせないためと
 敵の武器に集中させ、足元の仕掛けに気づかせないためです」
「なるほど」

片方の女が感心したような声を出す

私も敵の言葉になるほど、と納得した
角から出てきた時すでに私を拘束するための魔法が仕掛けられていたんだ…

「早くコイツを昏倒でもなんでもさせねば
 コイツは――――――――――――のだろう?
 この魔法もいつまでコイツに効くかはわからんからな
 また暴れ出されても困る」

まただ。ハエの羽音が途中で女の言葉を隠した
まるで私に聞かせたくないような感じがして、
そこに先程から感じているおかしさの原因の「何か」がある気がした

「はい、そうですね
 申し訳ないとは思いますが…」
「ふん、コイツの心が弱いせいでこうなった
 自業自得だ」

女の辛辣な言葉がズキリと胸を刺した

「厄介なのは、弱いくせして無理して重荷を背負おうとする事だ
 だから自身を追いつめ、敵に付け入れられる
 その事も自分の罪としてしまい、結果、重荷が増えるのだ
 そして自分の重荷に耐えきれなくなった時、コイツは自滅するだろうさ
 …それか結局逃げに走り、自己保身を図るかだな」

嘲笑ったような言葉に、負の感情が昂る

「貴方、それは言い過ぎでしょう」

もう1人がさっきの言動を窘めた

「言い過ぎ?…そんな事は無いだろう
 現にコイツは…」
「…もう、やめてよ…」

女の言葉を遮ったのは、絞り出すようにして漏れた私の声だった

「仕方ないじゃない…!
 この選択しか私には出来なくて、
 そもそも他の選択肢なんて見えなかった!分からなかった!知らなかった!」
「…」

デタラメに魔力を放出する

ピキッとプラスチックにひびを入れたような音がした

「「…!」」

ビキィッと一気に魔法を壊し、私は自由の身になった

私はのろのろと体を起こし、前方を見る

そこには険のある表情の女が1人
もう1人は…?

後ろを振り返ろうとして、前の女が呟く

「やはり、お前は弱いな」

私はそれに縛られたように動けなくなった



…すると背後から囁き声

「ごめんなさいね、こっちが本命です」

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設定タグ:魔法 , 記憶 , オリジナル   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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寒極氷化(プロフ) - 緋色 哀歌さん» まさかそんな評価がいただけるとは。ありがとうございます。マシだと思ってもらえるだけでも嬉しいです。 (2015年1月12日 13時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - 美燦雅★晏壽さん» んなわけあるかいなww (2015年1月5日 16時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
美燦雅★晏壽(プロフ) - 寒極氷化さん» わざと?w (2015年1月5日 16時) (レス) id: cad50b9778 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - 美燦雅★晏壽さん» ほんとや!!ww (2015年1月5日 15時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
美燦雅★晏壽(プロフ) - 寒極氷化さん» 121話だけ、「第」がないよ! (2015年1月4日 16時) (レス) id: cad50b9778 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:寒極 氷化 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kangoku/  
作成日時:2014年10月7日 18時

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