二話【同級生】 ページ3
靴箱に行き、改めてクラス全体を見渡す。
そこに、��海堂薫��の文字があった。
一年生、マネージャーになってからというもの、レギュラーであるのにあまり話したことは無い。そして、フレンドリーな��桃城武��とはどうも馬が合わないらしい。確かに真逆と言えば真逆である。
喧嘩早いところは変わらないけど。
そう思い、靴を履く。
トントン、と整えていると背後に影が。
「あれ」
『…ん？』
振り返ると、大男。
二年、同級生の桃城武だ。
桃城はいつも通り、人懐っこいのか怪しく笑っているのか区別できない顔で寄ってくる。私は、この人が少しだけ苦手だ。少しだけ。
「何だよ、
今から行くなら声をかけてくれてもいいのに」
『いや、ちょっとね…』
「遠慮すんなって。俺らの仲だろ？」
『どんな仲だよ』
厳しいな、厳しいよ。
と、お決まりの文句をいただきながらも、私は急ごうとする。それでも桃城は引こうとはしなかった。
どう逃げようか、思案しているその時、また後ろから
「すみません、
テニスコートどっちッスか？」
と、今度は小さい…一年生。
でも、顔は凛としていてカッコいい。男に疎いと言われる私でもそう思えた。少しだけ、見惚れてしまった。
それに対し、桃城は今度こそニヤッとした顔を見せた。嫌な予感がする。
『テニスコートはこっ…むぐっ』
「テニス部？ あっちあっち」
「どーも」
口を塞がれ、対応が出来ない。桃城がしてくれたと思ったら、コイツ、嘘をついてやがる。
何も知らない一年生は奇妙なモノを見る目でこっちを見て、行ってしまった。それも二人も。
桃城はご丁寧に「いいって事よ！」なんて言っている。
私はやっと手を離してもらえた。
少しだけ睨み、背を向ける。
『…しーらない』
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作者名：真珠 | 作成日時：2021年4月1日 16時
