もし、素敵帽子幹部が前世で幻影旅団の兄さんだったら？【文豪ストレイドッグス】×【hunter×hunter】

狩人の世界の話 ページ3

光が窓から差し込む


本棚が並んだ部屋は窓からの光を遮る



本が日に焼けぬようにと本棚には布が被せられている



その部屋の光があたらぬ隅で一人の男が踞っていた




男の名はクロロ＝ルシルフル


幻影旅団と呼ばれる名の知れた盗賊団の現団長である



クロロは本棚を見ている

その目は焦点が定まっておらず、どこか虚ろだ


彼は数日前からこの様な状態だ

団員達が心配し、ようすを見に来るも以前、変わりはなく……




世間に恐れられている幻影旅団の団長がなぜこんな状態になったのか



それはある男が原因だった


幻影旅団の育て親、中原中也の死だ



彼は強かった

己と団員達を敵なしと言われる所まで育て上げ、団員達の中でも最強に等しい者で束になってかかろうと手も足も出なかった



そんな彼が死んだ


信じることができない事実だった




幻影旅団の中でもクロロは一番中也と共にいた時間が長く、誰よりも中也を慕っていた




「………兄さん」



このままではいけない

早く立ち直らなければ

団員達にこれ以上心配をかけるわけにはいかない



床に手を付きゆっくりと立ち上がる



廊下への扉を開け、団員達が集まっているであろう広間へと足を向ける




自分のことを気にかけてくれる彼らのことを考えると無意識に頬が緩んだ

15歳の話 ‐1‐→←文豪達の世界の話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す