15歳の話 ‐15‐ ページ18
己の作り出した血溜りの中で蘭堂は口を開いた
「中也、君………ひとつ、いいか………?」
「なんだ」
「生きよ」
囁くような声で蘭堂は言った
「君が何者で、何処からきたのか………知る術はもはやない」
「だが君が…………力の表層の模様に過ぎぬとしても………君は君だ。何も、変わらぬ………全ての人間、全ての人生は…………脳と肉体、それらを含む物質世界の、美しき模様に、過ぎないのだから……」
中也も太宰も黙ってその言葉を聞いていた
蘭堂は微笑みながら小さく何かを呟いた
「………___………_…………………………」
温度が急速に失われていき、蘭堂は目を閉じた
もう寒さを感じない男の体
其れを見つめる二人の少年の心
一陣の風が、彼らの魂を眺めながら流れ、通り過ぎた
それから一ヶ月が経った
『荒覇吐事件』と名付けられた一連の破壊騒動は蘭堂の単独犯として処理された
太宰と中也はポートマフィアのとある一室にいた
「ねェ中也、君はマフィアに入るのかい?」
「さぁな………マフィアとして生きるのもいいが一人旅すんのもいいかもしんねェって考えてる」
椅子に座りそれを聞いた太宰は身を乗り出す
「それなら入ってよ!詰まんないし、暇なんだよ」
中也は太宰を宥めつつ答える
「入ってもいいんだが、俺は世界を見たいンだよ」
「じゃあ、その旅が終わったらここに入ってよ!」
「金を貯める分結構かかるぞ?」
「えぇぇーー……」
二人の会話を聞いていた森が一つ提案を出した
「なら、旅行費は此方で出そう。その代わり期間は一年間で、その後はポートマフィアに入るっていうのはどうだい?」
「それなら、悪くないかもしンねェが………」
中也の呟きを拾った太宰は中也に詰め寄る
「なら、それでいこうよ!森さんは君みたいに強い人材は欲しいだろうから、沢山出してくれると思うよ!」
「太宰君………………」
中也は少し考えて答えを出した
「一年間か……………まぁ、金銭面の問題が無くなるのは嬉しいからな…………あんたの提案に乗ろう」
それを聞いた太宰が歓喜の声を上げ、森がそんな太宰を見て苦笑する
「それで、何処に行く予定なの?」
「今のところ行こうと思っているのはアメリカとロシアだな。ヨーロッパも視野に入れている」
マフィアの首領執務室で会話をする中也と太宰と森
雰囲気だけを見れば微笑ましくなる光景だった
15歳の話‐終‐
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迷月蒼架(プロフ) - やみねこ様≫番外編にてリクエストの中也幼児化を上げました!リクエスト有り難うございました (2018年7月31日 22時) (レス) id: a69f0dfd2d (このIDを非表示/違反報告)
迷月蒼架(プロフ) - やみねこ様≫了解しました!今日中には上げられると思います (2018年7月31日 20時) (レス) id: a69f0dfd2d (このIDを非表示/違反報告)
やみねこ - リクエストで、中也が幼児化した話が見たいです! (2018年7月31日 20時) (レス) id: 008d70804a (このIDを非表示/違反報告)
蒼架(プロフ) - やみねこ様≫コメント有り難うごさいます。そろそろ更新する予定ですので楽しみにしていただけたら幸いです。 (2018年7月26日 20時) (レス) id: a69f0dfd2d (このIDを非表示/違反報告)
やみねこ - すっごい面白いです! 更新頑張ってください! (2018年7月26日 20時) (レス) id: 008d70804a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼架 | 作成日時:2018年7月8日 10時