あっ、渡辺です。

ちょっとおセンチ ページ30

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――例のラジオから数日後
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「こんばんは〜、今夜も始まりました。万葵Aのアオイ美術館。」
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「んや〜〜、ね、色々とお話したいこともありますけども！笑」
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「本当にたっくさんメールを頂いているので、まずはこちらを拝見していこうかなぁ」
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　ペラペラと手元にある紙を捲り、予め選んでおいたメールを確認する。やっぱり同じような内容のものが多くて、膨大な量のメールをさばくのはだいぶ大変だった。
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「――と、いうことで。まぁ〜〜、そりゃ気になるよね、笑」
　
「先日とあるラジオでとある方が爆弾発言をした挙句、なんと電話をかけるっていう、事件が、発生したわけで笑笑」
　
「はい、そうなんです。私、万葵AとSnow Man渡辺翔太さんは姉弟だったんですね〜、へへ笑」
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　一通目のメールに答えていれば、ラジオ監督が見せてきたSNS。それはそれは大盛り上がりで、トレンドの上位3位がこのことに関するワードで埋まっていた。ジャニーズって凄いんだなぁ。
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「“どうして隠してたんですか？”ってメールも多かったね。ん〜……」
　
「お互い、自分の実力でここにいるんだぞって証明かなぁ。姉弟コンビってタイトルだけで評価されたくなかったんだよね笑」
　
「あとは翔太に迷惑をかけたくなかったからかな。私の事で悩んだりして欲しくなかったのが一番かも……」
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「せめて公表するなら翔太がデビューして、私も何か成果を残してからだよね、ってことは話してたから、別に今バレたとしても想定内ではあったよ。ただ、バレ方はちょっとダサすぎなんだけど笑笑」
　
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　今まで誰にも言ってこなかった分、私の口はよく回っていた。やけに饒舌で、翔太みたいにいらないことまで話し出してしまいそうだったけど、そんなことよりも翔太の話が出来ることが何より嬉しくて。
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「あ〜！ そっか、これからはLIVEとか観に行けるんだ！ んはは」
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「色々配慮してた結果、一度も行けてないんだよ、うん」
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「堂々とオタ活出来るのか…………そっか……」
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　何かとすぐに涙腺がもろくなってしまうのは歳のせいかなのか、はたまたこの時間帯だからなのか。かすかに震えた声がバレませんように、と慌てて話題を逸らしてしまった。

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