氷河期 ページ24
俺の姉ちゃんは役者になった。そんな素振りもなかったのに、ある日突然。
最初は嘘だと思ってた。だって、あれだけ絵を描くのが大好きで、将来は絵を仕事にするんだと息を巻いていた姿を見てきてたから。
だから、姉ちゃんから理由を聞いた時、本気で後悔した。本人はそのつもりじゃないんだろうけど、まるで俺のために夢を諦めたように聞こえたから。何度も聞き直したけど、嫌がらずに何度も同じことを答えてくれた。その優しさが当時の俺には苦しくて、初めての反抗期を迎えるきっかけとなってしまったのだ。
「翔、どしたの、それ」
「……別に」
「ふうん、かっこいいね」
俺が髪の毛を突然染めた時、問い詰めるでも、怒鳴り散らす訳でもなく、ただ褒めてくれた。似合ってるよ、かっこいい。身内への贔屓目もあるんだろうけど、染めてから暫くは毎日のように言われてた。
「……翔、遅かったね、ご飯は？ 」
「…………」
「翔？ 」
「いらねぇ」
「食べてきたんだね、良かった」
俺が初めて夜中に帰ってきた時、小声で心配してくれた。家族を起こさないように配慮してくれたんだと思う。明日にはどうせバレるのに。いつも日付が変わる前には眠くなって寝ているから、当時の姉ちゃんは相当眠たそうで、何度も目を擦っていた。明日も仕事があるはずなのに俺が帰ってくるまでずうっとそうして待っていたんだろうな。
「、あれ、」
「…………」
「ママには具合悪いって言っておくね、部屋で休んでおいで」
「……、」
新しく入った高校で、先輩に目をつけられたことがあった。お前、ジャニーズなんだろ、と。暴力沙汰ではなかったけど、あの鋭い視線が苦手で、その日はどうにも学校に行く気力がなかった。親には相談できないまま、リビングでぼーっとしていたら、俺の心内を読んだみたいに、姉ちゃんが声をかけてきた。おそらく、涼太にも連絡を入れていたらしい。次の日から涼太といる時間が増えて、あまり絡まれなくなった。
そんな、まさに思春期男子となっていた俺にもずうっと優しかった姉ちゃん。でもあの頃の俺は、どうしても姉から嫌われたかった。今なら間に合うから、役者なんて辞めて欲しかった、ただその一心。
「……翔太、それ、」
「ん？ かっこいいでしょ」
「そうなん、だけど、……ちょっと、うるさいかも」
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みるく(プロフ) - 拝見させていただきました！面白すぎます☺️あと年齢は学年が3つ違うと思うので、3歳差があってると思います！ (2023年4月13日 0時) (
レス) @page9 id: dc78524574 (このIDを非表示/違反報告)
ち(プロフ) - 風呂さん» ありがとうございます！ではそのようにしてマシュマロ送ります！お手数お掛けしますが宜しくお願い致します！ (2022年12月6日 21時) (レス) id: 05ca5d3cec (このIDを非表示/違反報告)
風呂(プロフ) - ちさん» その場合はプロフィールに貼ってありますマシュマロにて自分のアカウントIDとこの作品からアカウントを知った旨を送っていただければ承認致します。 (2022年12月6日 20時) (レス) id: 8fada28824 (このIDを非表示/違反報告)
ち(プロフ) - コメント失礼致します！インスタのdmなのですが他の方へのコメントにしていたやり方が自分のアカウントではできなかったのですがどうしたらいいでしょうか？？ (2022年12月6日 20時) (レス) id: 05ca5d3cec (このIDを非表示/違反報告)
冬彩(プロフ) - 風呂さん» すみません汗 教えていただきありがとうございます🙇 (2022年12月6日 9時) (レス) id: b53e1848d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風呂 | 作成日時：2022年11月29日 16時
