❄⛄スノ学⛄❄in生徒会室 (ページ15)

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▽ 黄色い視線ページ15

岩本side

去年自分がそうだったように、今年も入部希望者は絶えない。
俺達の代で入れたのも4人だけ。今年は何人だろうか。
期待をしつつも今年は居なさそうだな、なんて諦めつつ新入生の群れを見据えてはぁ、と少し溜息をつく。

深「ひかる〜、溜息つくと幸せ逃げんぞ〜」

「るさいふっか。顔デカイくせに」

深「おうそれ全く関係ないな？？」

なんて冗談を交えつつ入部希望者の名簿に目を通す。
廊下から聞きなれた関西弁と知らない声が聞こえ、相変わらずだな、と思い少し注意しようと教室のドアを開けた。

「康二、めっちゃ声響いてるぞ。」

康「あっ！照兄！すまんすまん。いやちょっとみんなの事で盛り上がってしもて」

と同学年の康二に兄と呼ばれる歯痒さを感じつつも隣りの小柄な女の子に目を向ける。
目が合ったかと思うと彼女はびく、と肩を竦ませ直ぐ視線を逸らされてしまった。
しまった怖がらせた、と思った時にはもう遅い。名前や康二とどういう関係なのかを聞こうと思ったが、この様子じゃ無理だろう。嫌な訳では無いが、顔やタッパのせいで大勢の人に怖がられる。
康二に聞くとどうやら、新入部員らしく、被写体にダンス部(ここ)を選んだらしい。ダンスに興味無い人が見てもつまらなくないだろうか。そんな事を思いつつも招き入れた。

入部試験が始まり、俺が気になっていた新入生のラウールと言う子が踊る番になった。
身長、ビジュアル、全てが完璧だと思った。音楽が流れ彼を含め5人が各々ダンスを始めた。
教室にいた全員が彼から目を離せなかったと思う。
音楽が止まった後はすごい歓声で、彼は勿論合格した。

彼が踊っている中俺は、少しだけ後ろでカメラを構える彼女を見た。
真剣なその瞳を俺は見てしまった。
ダンス部部員として入部試験を見なければいけないのは充分に理解している。だけど俺は彼女から目が離せなかった。目を離したくなかった、のが正しいかも。

そのカメラ(瞳)の向く先が俺ではなく、俺よりも背の高い彼である事に物凄く腹が立った。何故だろう。

人を好きになるのに理由なんていらない、なんて言う言葉がある。
その言葉を今、ここでハッキリと理解してしまった。

ああ俺は、彼女の真剣なその瞳に、吸い込まれそうな程綺麗な黒い瞳に、彼女に

俺の方を向いて、俺だけを見てほしいと

彼女を好きだと＿＿

理解(わかって)してしまったんだ。