SMの初恋 III

アイドルだって恋がしたい 2 ページ21

CHANYEOL side



その日はなんだかやる気が起きなかった

うまく笑えないし
喉の調子も悪かった


ﾏﾈ「大丈夫か？」

ﾁｬﾆｮﾙ「はい…」


移動中の車内には俺とマネヒョンの2人きり

とてつもなく空気が重い



しばらく無言のまま運転していたヒョンが
信号待ちで停車したとき

「お前、そろそろ限界だろ…？」

そう言って振り返って
後部座席の俺と目を合わせた



ﾁｬﾆｮﾙ「え？限界って何が？」

ﾏﾈ「それ、気付いてないの？」

ﾁｬﾆｮﾙ「え、何？何？」

ﾏﾈ「…泣いてるぞ、お前」



ヒョンはすぐに前を向き
信号が青に変わると同時に車を走らせた



泣いてる？俺が？


ふと頬に手を当てると確かにそこは濡れてた


自分でも気付かないうちに涙が出るほど
心も体も疲れているのか…





その後、作業部屋に篭った俺


そこでも溜め息ばかりで
大好きな楽器たちを触ることもしなかった


やばいな、マジで病んでるかも…



こういう仕事をしてると度々訪れる病み期



やりたいことを
やらせてもらえるようになったとはいえ

実際は、それ以上にやりたくないこともやってる


笑いたくない日にも無理に笑顔を作るし

言いたくないセリフも言わされる

具合が悪い日には濃いメイクで誤魔化して

泣きたくたって
ゆっくり泣くこともできない



それが積もり積もって
俺の病み期が始まったようだ




ﾄﾝﾄﾝ…「入るぞ」


いや、どうぞとか言ってないんですけど。


はぁ〜と俺の大きな溜め息に迎えられたのは
今日同行していたチーフマネージャーのヒョン



ﾏﾈ「お前の様子がおかしかったから心配でな…」

ﾁｬﾆｮﾙ「大丈夫ですよ、たまにあるんです」

ﾏﾈ「今日は俺が悪かったよ」

ﾁｬﾆｮﾙ「なんでヒョンが謝るんですか」

ﾏﾈ「結婚してる俺がお前に恋愛するななんて
無責任で自分勝手な発言だったよな」

ﾁｬﾆｮﾙ「しかたないですよ
ヒョンが言ったことは正しいです」



ﾏﾈ「それで、これは提案なんだが…」


提案？


ﾏﾈ「恋愛ごっこ？デート？
そんな感じのことを…Aとしてこい！」


え、え、えー！！！


ﾁｬﾆｮﾙ「ヒョン、それってどういう…」

ﾏﾈ「お前のストレスをAに協力してもらって
発散してこいって言ってんの！

さすがに、一般の人や他のアイドル巻き込むと
後々大変なことになるからAなら安心だし

まあ、彼女役がAじゃ物足りないかww」





とんでもない！

ヒョン、それ最高の提案です！

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