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家にこの国の城に仕える方々が来ているらしい、なんでも靴が入る女性を全員靴に足を入れてもらい調べている。そして靴がピッタリ履ける女性を王子のキサキに迎えるという事なのだ。
「今更、私ですなんて言えない.......だけどもう一度彼に会いたい。」
いつものように猫ちゃんに声を掛ける。
「ちょっとA、あなた呼ばれてるから、下に降りてきて。」
「えっ、あっはい。」
お義姉様が来たけど、まさかお義姉さまにさっきの聞かれてたりするのかな、大丈夫かな。
私はそんな心配ばかりしている。
下に降りるとそこには何人もの人がいて、その中にはこの前のピアニストさんがいて。あの時のピアニストさんが私の普段の様子をみて目を見開いてみていた。
「あ、この靴に足をお入れ下さい。」
私の靴、いや母の大事な靴が私の目の前には置いてあった。お父さんの方を見ると見て見ぬふりをしてるかのようにしていて、多分これがお母さんの靴って分かってるんだろうな。
「はい、わかりました。」
私がスっと左足をガラスの靴に入れると勿論ピッタリ履けて、そりゃそうだと自分でも言ってしまいそうになった。
「これは、あなたの靴でお間違えないですか、、？」
「はい。私の靴です.......」
私はそう言って持っていたもう片方の靴をエプロンに着いている深いポケットから取り出した。
後ろからはなんであなたが？とかどうやって…とかお義姉さまたちの声が聞こえるけど今の私はそんなのみみには入ってこなかった。
「わたくし達と来ていただいてもよろしいでしょうか？」
「はい。よろしくお願い致します。」
私がそう言うと後ろで噛み締めているお義姉さまとは全く対照にお義母さまがコロッと寝返ってあら、A流石だわとか良かったわねとかそんな言葉を並べていた。
最初ピアニストの彼が私を呼んだ時は絶対に私の事悪く思ってたくせに、私の靴とわかった瞬間寝返ってこうだから絶対に許せない。
「お父さん、黙っててごめんなさい。お母さんの靴履きました。」
「いいんだよA。今までごめんな。アイツも空で喜んでると思うよ。」
私とお父さんが、こんな会話をしていると庭にある母の簡易的なお墓の周りに植えていたお花が蕾だったのが花弁が開いた気がする。
「お母さんも喜んでるのかな？」
「そうじゃないのか？でも本当に良かったよ。Aも舞踏会に来れていたんだな。」
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作者名：はる | 作成日時：2020年6月21日 22時
