Cinderella (ページ16)

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あの日、ガラスの靴を落としたAさんに。
そんな彼女に恋をしたただのめめの側近でただのピアニストの俺。
釣り合わへんそんなこと俺が1番わかっとってただただ少しでもキミの傍に居りたかった。

Aさんと出会って恋をしてはいけへん人を好きになったんやなってどん底に落ちた。
やけどAさんの家で隠れるように暮らすAさんを俺がみつけて今日はAさんが幸せになる日。

「俺が、Aさんの晴れ舞台のピアノを弾くんや。弾かせて貰えんねや。」

『向井さん、ほんまにありがとう。』

彼女は最後に俺にそう言った。屈託のない笑顔で、慣れへんやろうし、全然知らないであろう俺の母国の言葉を。

Aさんの結婚式でピアノを弾く日、それは俺にとっては忘れられへん日で、ピアノを弾き終わったら趣味でもあるカメラを手に持ちめめとAさんの二人の写真をたくさん撮っていく。

今でも瞼の裏にしっかり焼き付いとる、舞踏会で遅れて入ってきたAさんの姿、横目にしか見ることしか出来ひんかった。
どっかの満天の星が浮かぶあの空から1つ星を盗んできたようなそんな輝きを持つAさんの姿を忘れられずに。

「康二ほんとに色々やってくれてありがとう。」

「めめ、幸せにせんと許さんよ。これは友達としてのお願いやから。」

「俺がAを幸せにするからAがつらそうな時康二がいっぱい話を聞いてあげてね。」

「言われんでもそうするわ、ほんまにめめおめでとう。」

一歩俺も大人になったと思う。
俺の願いはAさんが幸せになること、それはめめとAさんがくっつくこと、多分そうなんやと思う。俺がAさんと結ばれるなんて有り得へん話やねんな。

「向井さん、これからもたくさんよろしくお願いします。向井さんのピアノ舞踏会で聞いた時から大好きです」

Aさんにとって俺のピアノをは舞踏会のBGMでしかなくて聞いてへんもんやと思っとった。
君の輝きはほんまにどこかの満天の空から盗んできたような星。みんなを照らしてる星、そんな感じやった。

「俺も、Aさんが大好きやったよ、」

俺の言葉はそんな満天の空に消えていった。

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Fin,