雪は舞って闇に咲く弐 (ページ39)

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次の日、ラウールと深澤は軍に入隊する子供たちを滝沢組本部まで送り届けていた。

皇｢じゃあ、また会おうね。｣

ラ｢うん、みんな頑張ってね｣

平｢助けてくれてありがとな｣

豊｢お前の戦いっぷりみてたらもっと頑張らなきゃって思ったよ｣

他の小さな子供たちも口々にお別れと感謝の言葉を言う。

皇｢じゃあみんなそろそろ中に入ろうか。｣

子供たちは皇輝に促され、それぞれがラウールとの別れを惜しみながらも門の中に入っていった。

織｢ラウール！｣

最後の最後まで残っていたのは織山だった。

ラ｢織山くん｣

織｢また、な！｣

ラ｢っ！うん、また！｣

二人はそれだけをかわすと、ラウールは少し先で優しく微笑む深澤の元に、織山は仲間たちの元にかけていった。

ラ｢…ふっかさん？｣

深｢ん？｣

ラ｢滝沢くんにお願いしてくれたのって俺のため？｣

深｢んー？なにが？｣

ラ｢皆を軍に入れるようにしてくれたこと｣

深｢ん…。どうだろな？｣

ラ｢えー何それ！ちゃんと答えてよぉ｣

深｢まあ子供は大人に甘えときゃいいってこったな｣

ラ｢子供扱いしないでよ！｣

深｢…ラウにはさ、八人の兄貴がついてんだからもっと甘えていいんだよ。みんな喜んで甘やかすぞ｣

昔から甘えることが出来なかったその境遇からラウールが甘えることが出来ないことに深澤は気づいていた。

ラ｢…｣

深｢まぁ、おいおい、な？｣

そう微笑んで頭をくしゃりと撫でる深澤の表情は兄のようであり母のようであり父のようであった。