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男が声の主の方を振り返ろうとした瞬間、男の体は吹っ飛んでいた。声の主はもちろん岩本だ。左肩に阿部を抱え、右手はいつもの大刀を持っている。
ラ｢岩本くん！阿部くん、めめも！｣
三人がラウールと織山の所に駆け寄ってきた。
岩｢ラウール、大丈夫か｣
阿｢血が出てる、ちょっと待ってね｣
そう言うと阿部が懐から薬が入った瓶を取りだしラウールの腕の傷口に垂らし、包帯で縛った。
阿｢よし、これで大丈夫。…照。｣
岩｢応、俺は残った奴らを全部始末するから目黒は子供たちを集めてくれ、阿部はここで来た子を手当して守って。ラウと織山は阿部を助けてくれ。｣
目｢ラウも織山も頑張ったな、後は俺らに任せて｣
そう言うと岩本と目黒が戦いの中心に飛び込んでいった。
目黒が叫ぶ。
目｢お前ら！よくここまで耐えた！向こうにラウールたちと阿部ちゃんっていう優しそうな男の人が居るからそっちに固まってくれ！俺が守ってやる！｣
｢若！｣｢若様！｣｢若様だ！｣
子供たちの目が輝き出す。
皇｢よし！みんなラウールたちの方に向かって走れ！戦える奴は若様の援護をしろ！｣
皇輝がそう指示を飛ばすと子供たちが一点に向かって走り出した。
そうはさせまいと斬りかかってくる男たちの刃を目黒が受止め、それでも足りない部分は皇輝をはじめとする子供たちの中でも手練が年少たちを守った。
勿論、阿部たちの方にも敵はやってきた。
阿｢ここは空気が悪いから毒使えないんだよね…｣
そうぼやきながら阿部は剣を抜く。
阿｢だからさ、一人一人殺られてね？｣
あざとい表情で怖い台詞を呟くと素早く相手の懐に入り、刃のない剣で相手の素肌に触れた。そうするとその男たちが次々と崩れ落ちていく。
『き、貴様！何をした！！』
何が起こっているかわからない様子の男たちを前に阿部はこう言い放つ。
阿｢君らみたいな馬鹿には説明しても一生分からないよ｣
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作者名：さすけん | 作成日時：2020年6月2日 1時
