雪は舞って闇に咲く弐 (ページ14)

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その後、雪桜隊の存在を知る者の数少ない内の一人である滝沢の部下二人に光宗を引き渡した。光宗は今後禁止されている薬の闇取引や人身売買に関わった罪で裁かれるらしい。その罪の重さからして一生檻の中から出られはしないだろうとの事だった。

あの日から数日後、全員で夕飯を食べている時にふと渡辺がある疑問を口に出した。

渡｢そういえば、清助さんはなんで佐久間がお嬢様？の息子だって気づいたんだ？｣

佐｢あぁ、それはね…｣
じゃーん！と言って佐久間が懐から取り出したのはいつもの短剣だった。

佐｢清助さんが健くんの屋敷から出る時に俺と一緒にこれも預けて行ったんだって。なんか母ちゃんの家の家紋？が刻まれてるんだって｣

宮｢そうだったんだ。じゃあ尚更大切にしなきゃね｣

佐｢割と命助けられてっからなぁ｣

向｢もしかしたら佐久間くんのお母さんが守ってくれてはるんかもしれへんな｣

翌日、佐久間は清助から教えてもらったある場所にいた。母親の美代が眠る墓地だ。

お参りに行くなら、と宮舘から渡された花を持って墓石へ向かうとそこには既に先客がいた。

佐｢三宅殿…｣

三｢あぁ、佐久間。二人きりなんだ、昔みたいに呼んでよ。…ここに来たということはもう全部知ったんだね？｣

佐｢はい、清助さんが教えてくれました。28年前何があったのか、母がどうして死んだのか…｣

三｢そっか…今まで隠してて悪かった｣
そう言って三宅は佐久間に頭を下げた。

佐｢ちょちょちょ、やめてください！健くんは俺に戦いの技術を教えてくれて、組が解体したあとも仲間を見つけてくれました。…俺のせいで無くなったも同然なのに｣

三｢それは違うよ、佐久間。元々俺はあの戦いが終わったら引退して余生を暮らそうと思ってたよ｣

佐｢でもその脚は！俺を庇わなければ…｣

三｢いいんだよ。佐久間はさ、ううん大介は俺の子供みたいなもんなんだよ。そうだろ？赤ん坊の時から知ってる。笑ったり、怒ったり、泣いたり…どんなときもそばで見てきた。
子供を守るのは親の役目だ。脚の一本くらいなら安いもんだよ、な？

だからもう…泣くな。｣

佐｢うう…健くん…｣

三宅はぽんぽん、と佐久間の頭を撫でて杖をつきながら坂を下っていった。

その背中に向かって佐久間は大きな声で叫んだ。

佐｢健くん！ありがとうございました！｣

その声は片手を上げて応えた三宅にも、そして空で見守る美代にも届いたことだろう。