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その晩、向井は数日の休みを取って都に来ていた。
金内の居場所がわかったのだ。
だが、不審なこともある。金内が今いる組織はかなり評判の悪いところだったのだ。向井の思い出の中の正義感の塊のような彼とは似ても似つかず、困惑した。
だからこそ、それも含めて直接聞きに行くために遥々都に向かったのだった。
村上に紹介された情報屋にいくらか金を渡したところ、確かに金内はその組織にいるらしかった。そして弱い町民たちから犯罪まがいのことをして金を奪っていると。
その話を聞いて向井が一軒の被害者の元を訪ね、事件のことを聞くとこんな不思議な話を聞くことが出来た。なんでも金品を奪われた翌朝、奪われた金品と同等価値程度の金が扉の前に置かれていたというのだ。被害者は仏のなした奇跡だと言っていたが…。
他の被害者宅を訪ねると、彼らも皆金が置かれていたと言う。
向井が一人で聞き込みを行っていた時、向井は自分を尾行する者に気づいた。気配を察した所によると尾行してきているのは二人だろう。そこで向井はあえて路地に入り、まんまと後ろから付いてきた男の首元に小刀を突きつけた。
向｢さっきから気ぃついてないと思った？お兄さん俺に何の用なん｣
｢…バレてたかぁ｣
向｢バレてるも何も…なあ？そこにもう一人おるみたいやけど｣
｢ありゃ？俺のこともバレてた？えー翔太より俺の方が尾行上手いと思ったんだけどな〜｣
と後ろから向井を狙っていた小柄な男が出てきた。
翔太と呼ばれた、向井の腕の中の男がその男に向かって話しかける。
翔｢佐久間〜これ取ってくんね？｣
佐｢んー佐久間さんそれは無理かも、お兄さんただの旅人じゃないね？｣
向｢なんでそう思うん？浪花は天下の都より治安悪いからなぁ。浪花の人らは皆こうかもしらんで？｣
佐｢あっはっは！普通の人は尾行には気づけないって考えれない？｣
向｢なるほどなぁ…まあ普通じゃないのはお互い様みたいやし？俺別に都に人殺しに来たわけやないしなぁ…捕まりたないしさよならするわ、じゃ｣
向井は素早く懐から煙玉を出すと地面に叩きつけてその隙に宿へと帰っていった。
佐｢あの人凄かったね｣
翔｢あいつ俺のこと殺せたぜ…俺ら二人かかって彼奴倒せると思う？｣
佐｢んーそれはわかんないかな、ほんとに殺気がなかったもんね最初から最後まで｣
翔｢それであれは怖ーよな。とにかくふっかに報告だな｣
佐｢だねー｣
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作者名：さすけん | 作成日時：2020年7月25日 14時
